2020/04/19 17:51

4月19日 小雨

本日のBGM Head in the Clouds

今日は降ってるのか降ってないのか曖昧な天気で
民族の気質は風土による影響が大きいと言われるけど、
こんな感じの天気も、日本人の性格にいくらか影響を与えているんでしょう。

曖昧なものは好きなたちで、
会話に主語がないし、
自分の意思も どっちでもいいや なんてのが多いし、
視覚的にもはっきりしたものよりは
ぼやけたようなものの方を好むので、
陶器の釉薬もはっきりしない所がいい所だと思っています。



これ↑は昨日焼いて今日窯から出したもので、
十重(とえ)というシリーズの小皿です。
十重二十重の十重ですね。
とへ って書いた方が趣ある感じするかも。
たくさん重ねて収納できるのでこんな名前です。

この釉薬みたいな遠目にはぼんやり曖昧で、
近寄るとまたそこに図形の羅列があるというのは
視点の大小で広がりがあって
そういうのはやはり好きですね。


雨の庭で この苔なんかも近寄ってみてみると
色々な形があって、まあこれは苔の花の方なんだけど、
苔って近くで見ると気持ち悪いねとか、
個別でとらえると印象が違うとか、
髪の毛の間からこんなの生えてきたらどうしようとか、
こちらも広がりを感じます。




庚申窯には裏庭a.k.a見放された沼 があって
そこにはいくつか苔むした石があり、
それを焼き物の鉢に移したものです。
遠目で見るとこんな感じで、
私が前に作った白の大鉢に
苔石が鎮座ましましております。


もともとメダカを飼ってた鉢だけど、
やはり私の作ったものだからエネルギーが他とは違うのか、
この鉢だけすぐに水が藻だらけになるので
苔石用にジョブチェンジしました。
白いから日光が入りやすかったせいだとか
そんな反論の出しにくい説は受け付けません。

半日陰のところに置いてあるので
これからどのようになるか楽しみです。
こんなふうに時間をかけて
無機物が有機物と混じっていくってのも好きですね。
何より放っといてOKっていうのがいいよね。
いよっ蘚苔類!





高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目