2020/06/09 04:09

6月8日 晴れ

本日のBGM Eddie Higgins Trio

またイカしたトンボがいたので今回は動画をとってみました。


動画の中では触ろうとしたから飛びましたけど、近づくだけなら全然動きませんで、なんか飛び方もフラフラしてるし 羽もピラピラしてるから、もしかしたら羽化したてとかで まだ体が固まり切っていないんでしょうか。

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ところで こやつ じっくり見るとなかなか小粋な顔をしていて、口に角度があると表情があるように見えるんですかね、ちょいと愛くるしささえあります。この口で蚊などをバリバリ食べる立派なプレデターに成長していただきたいものですが、庚申窯にはツバメというさらに上位のプレデターがいますからね。そちらの方はうまく逃げていただくとして、

トンボというとトンボ返り(バク宙)というのがありますが、私はトンボ返りに昔から憧れを持っておりまして、いつかできるようになりたいと思っていた人生における夢の一つです。


トンボ返りには体のバネとか体幹の筋力とかが必要で、選ばれた者のみが会得できる技らしいのですが、それの手をついたバージョンのバク転は 勇気さえあれば割と誰でもできるそうです。

しかし勇者は早死をすると言いますし、特に実力が伴っていない者の勇気は 無謀とか無茶とか向こう見ずとか そそっかしいとかと同義ですから、私はみっともなくても生き延びる臆病者を選ぶのです。


「じゃあ夢は叶わないじゃないか」とおっしゃる方がいらしたら「夢なんて叶わなくて結構。夢は叶わないまま持っといた方がいいに決まっちょるんですたい」と胸を張って答える所存です。


バク転やトンボ返りなぞは できる人に対して「すごーい」なんて言ってる状態が1番良くて、歌舞伎役者でもないのに練習してまでやるもんじゃないし、習得したからってトンボ返りを披露する30代ってちょっと痛いだろうし、

仮にそれがモテにつながるとしても、好ポイントは「トンボ返りができるくらいの身体能力」という点であって、トンボ返り自体は余程使うタイミングがハマらない限り イキリたがりの脳筋野郎と思われるに決まっていますので、

「トンボ返り?やればできるかもしれませんね〜  いや〜 昔はよくはしゃいでやってたな〜  はっはっは〜」という雰囲気と見せ筋だけ晒しとけばいいんですよ。でもそれも十分キツイけどな!という風に、私は体のバネや体幹を鍛えるよりも、自己の現状を肯定する屁理屈だけを今日まで鍛えてきたわけですが、

昔テレビで「バク転をやりたい人たちのための誰でもできるバク転講習」というのを行なっている会社が取り上げられていて、私は当時「なんてアホな商売や」と非常に感銘を受けたのを覚えております。


江戸時代にも「猫の蚤取り」とか「耳の垢とり」とかアホな商売はいっぱいあったそうで、「親孝行」なんてのは洒落が効いてて非常に文化水準が高いと思うし、「お妾さん」も 当時は紹介所もあるような立派な職業だったみたいです。

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落語にもアホな商売を題材にした「あくび指南」という演目があって、「イキでオツなあくびの仕方を教える」というこの仕事は、アホな仕事の中でも頭ひとつ抜けていて、ある種の極みに到達しているようにさえ思えます。


文化が爛熟期(らんじゅくき:くさりかけが一番うまい的なやつ)に入ると、このような「社会が遊ぶ」ことが増えてくるみたいですね。それはもしかしたら全員が共有できるような明確な夢がなくなった時代に入ったということなのかもしれませんけど。


あくび指南は架空の仕事、つまりギャグとして1番あり得なさそうな仕事ということで創作されたのでしょうが、現代ではもしかしたら本当に出てくるかもしれないから油断なりません。あくび専門ユーチューバーとかね。

あくび専門ユーチューバーって、かわい子ちゃんがやったりして流行ってくれないかしら。「では初めての方には比較的やさしい 夏のあくび から学んでいただきたいと思います。『おい 船頭さん、船をうわ手へやってくんねい、、』リピートアフターミー」なんて。

でもこのあくびのバリエーションをたくさん思いつけるくらい想像力のある人だったら 他のことやった方が確実に儲かりそうですな。。スキマ産業の極みでもありますな。


おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目