2020/06/20 04:02

6月19日 くもりのち晴れ

本日のBGM yutaka hirasaka

最近わが家のおばあさまが、姉の勧めで韓国ドラマ「愛の不時着」をお昼ご飯の時に見てるんですけど、食べる間だけ私も見ていまして、

どんなドラマかと申しますと、ネットフリックスの作品紹介では

パラグライダー中に思わぬ事故に巻き込まれ、北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢。そこで出会った堅物の将校の家で、身分を隠して暮らすことになるが...。

と書かれてまして、まあ調べていただいたら現在めちゃ流行ってるらしいので、宣伝映像などが いくらでも出てくるんですけど、


今日私が見た所では、主人公2人を探す 北の人たちがサウナで報告会をしてまして、彼らと主人公たちのすれ違いが面白いシーンなのですが、一緒に見ていた祖母の方はそのおもしろポイントを理解してなかったので、

私は親切心から、このシーンでは今どういうことが起こってて、どうしてこれが面白いのかの理由を述べて、そしてここが笑うところなんですよ、さあお笑いなさい、という野暮なこと極まりないユーモアの説明というものをしておりました。


しかしそんな些細なことは祖母にとってはどうでもいいことでして、祖母の関心はそれぞれの俳優個人と、本筋のラブロマンスがどう進行するかだけみたいです。

先に見ていたらしい母がどういう神経をしてるのかガンガンにネタバレするんですけど、それを聞いても祖母の方は平気で、むしろ事前に何が起こるか知っておいた方が物語を楽しめるのかもしれないですね。


ほんでこういったラブロマンスについて考えてみると、恋物語というのはいかに恋を成就させないかが大事なんだろうなと思いまして、

AさんはBさんが好きです。BさんもAさんが好きです。2人はねんごろになりました。

これでは物語にも何にもならないので、ここにいろんなオプションを付け加えて2人の恋路を邪魔していくわけですね。


例えばAさんの恋のライバル、明るくて真っ直ぐなCさんが登場。そして実はAさんには忘れられない過去の人Dさんがいて、Dさんは既に亡くなってるんだけど、それにそっくりなEさんが新規に出てきて、でもEさんは結婚していることが分かり、その相手のFさんは、実はかつてBさんと不倫をしていて、BFの事情を知っているGさんがすごく余計な感じでそのことをAさんに伝えてしまって、やっと心を通わせ始めたAさんとBさんの距離がふたたび離れ、ここに来てCさんの犬キャラがすごくいい感じに立ち回って株が急上昇して、今度は責任を感じたGさんがまた余計な気遣いで事態をややこしくするんだけど、その最中に出会ったCさんのことが気になり始めて、一方でEさんは遊び癖の治らないFさんのことを相談するうちにAさんとEさんの距離が、いけないとわかっておりつつも近くなってきて、Bさんの方はというと、ややこしい事態を引き起こしたGさんと一度はすれ違うものの、雨降って地固まるのパターンで再び友情を深めるエピソードが1話はさまれて、かと思ったらそれぞれ微妙に勘違いが進んでいたAさんとFさんが喧嘩になり、ここに来てFさんの真意がわかって、、、

とまあ思いつくままに書いてみたんですけど、こんな感じでラブストーリーって成り立ってるんじゃないでしょうか。このややこしい文面は読解力のテストになりそうですね。


あとはこれを活かすための舞台として、

主人公2人は生き別れのきょうだいだったとか、親の再婚でいきなり同居からスタートとか、偽装結婚の契約相手からだんだん恋人になっていくとか、お互いに敵国のスパイだとか、性格が真逆の双子との三角関係とか、友人が不思議な力で性別が変わってしまってそれにときめいてしまうとか、亀の親玉にお姫様がさらわれるとか、恋愛よりもカルタに夢中とか、

そんな感じで 2人の恋路には避けられない障害、または決して結ばれない運命〜sadame〜 がラブストーリーには欠かせないみたいです。


そうすると この恋の障害となる舞台設定には時代ごとに流行りがあって、使い古されては新しい設定が必要になってくるので、近年では性別転換とかトリッキーな設定が多くなってきてたように思うんですけど、

この「愛の不時着」はそういう面から見たらもう王道のパターンですよね。しかし北朝鮮にスポットを当てたというのがとてもいいアイデアで、

北朝鮮の将校と韓国の金持ちのご令嬢というのは恋路の障害としてすごくわかりやすいですし、2人のコントラストがはっきりしてるから、文化の差や経済格差が物語を彩るエピソードになって興味が持続します。

また北朝鮮は情報があまり公開されないから、そこで暮らす人々の様子を再現するだけで、なんていうか知らないことを教えてくれてお得! みたいな「ためになる感」があって、それらのおかげで王道ラブロマンスを新鮮に見る事ができるんだと思います。そうなると王道はめちゃくちゃ強いですよね。


なにより実際の韓国と北朝鮮の状況があるわけですから、このお話は日本人からすると、大変想像しやすいんじゃないでしょうか。2つの国の事情を想像できる予備知識がしっかりあって、なおかつお隣の国なので、地続きでないからリアルになりすぎず、幻想を持ちやすい距離感ではないかと思います。


ていうか韓国と北朝鮮をそのままキャラクターにしても ラブロマンスとして成り立ちそうですね。じゃあその他の登場人物ってCさんとかJさんとかAさんRさんとかになるのかしら。これはまた複雑そうですね〜。


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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目