2020/06/26 01:37
6月25日 雨
本日のBGM Todd Rundgren
最近は例年通り蚊の皆さんとバチバチにバトルを繰り広げておりまして、私が血を吸われて痒みをもたらされた回数と、私が彼らを圧死させた回数で比べた場合、今のところ向こうに軍配が上がっております。
かたや痒みで、もう片方は死ですから あまり公平な判定基準とは言えないような気がしますが、
長年繰り広げられてきた この終わりのない戦いに疲弊した私は、今季から化学兵器を導入しまして、虫除けスプレーと香取線香による二重の防御壁で戦いを有利に進めて、我が軍の被害はすこぶる減りました。
しかし彼らは昼間の攻防が不利と分かると、今度は夜間にゲリラ戦を仕掛けてきまして、こちらの寝込みを襲うようになりました。
我が軍の駐屯地は敵兵の侵入を許さないよう、基本的には各通路を締め切っておるのですが、空気の循環のために開放しているマドが2箇所あり、マドには最強の警備システム アミド によって、アリ1匹入り込む隙間のない完璧な警戒態勢を敷いております。
しかしゲリラたちは夜中になると どこからともなくやってきます。アミドの警備システムになにか欠陥があるのか、それとも彼らは空気中に一定確率で発生する、可能性が定まっていない生き物なのか。
今日などは窓も閉め切っているのに飛んでいるもんだから、観測する私がいることでこのゲリラたちも存在してしまうのでは、などと大変に困惑しつつ、
そう言えば この世で最もうっとうしいのは蚊の幽霊だろう という意見があって、もし夜中に蚊の幽霊が現れて、音だけするのに叩き潰すことが出来なかったら。。それはこの上ない恐怖ですね。
もしそんな蚊の幽霊を自由に操ることができたらお気軽な復讐代行業ができますね。「にくいあんちきしょうの寝室にゴーストモスキートをどうぞ。2時間1,500円〜」
しかし生身のゲリラたちも十分に脅威で、彼らの目的は次世代兵士の育成に必要な栄養素を 我が軍から盗み出すことなのですが、我が軍からすればその程度の被害など取るに足らないのに、皮膚の民たちが過剰に反応するものだから、仕方なく彼らを排除しなければならないのであります。
しかし彼らも 必要な分だけ さっさと血を取っていけば良いものを、何をそんなたらっとしとんねん というくらい、血を吸うのが遅いのです。
一発で吸い切って帰ってくれれば こちらの痒みも1箇所で済むのに、ヒットアンドアウェイで何度も襲来するから 一匹の蚊に何箇所も刺されてしまい、お互いに不幸な状況が生まれております。
就寝前のC兵器は我が軍としても使用を控えたいので、夜間は実働部隊によるゲリラ戦が展開されます。
庚申窯に生息しているゲリラは、前線ということもあり鍛え抜かれた猛者どもで、おそらく我が軍や同盟国による長年の攻防によって、単調な飛び方の蚊は淘汰され、今残っているのは我々の意識の盲点をつくような飛び方のうまい個体ばかりで、ゲリラ戦を攻略するのは容易なことではありません。
ちなみに我が軍がメトロポリスに駐屯した際の市街戦では、驚くほど容易に制圧できる蚊ばかりだったので、あがのの蚊は非常に優秀な血統が育まれております。
そして夜間のゲリラ戦では、我が軍の間接照明への執心が裏目に出て、ああいうオレンジっぽい灯りの時のゲリラたちは本当に姿を見失ってしまいます。
それゆえに我が軍は夜間、大変な被害を被っていたのですが、最新兵器 アイホンのライトを導入したことにより、ゲリラたちのシルエットが壁に映し出されて 居場所をはっきりと補足することができるようになりました。
ちなみにシルエットの語源は、昔フランスが資金繰りに困ったときに肖像画なんて影絵で十分だと言ったシルエット大臣が語源ですが そんなことはどうでもよくて、
この最新兵器を操るには我が軍のレフトアームをフル稼働せねばならず、レフトとライトのコンビネーションによって我が軍の制圧能力は真価を発揮するのですが、ライトアームだけでの捕獲はなかなか至難の技で、本日も永遠に続く戦いの、とある1日が刻まれるのであります。西部戦線異常なし!
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目