2020/07/06 02:30
7月5日 くもりときどき晴れのち雨
本日のBGM Portishead
今日はトンボを色々用意してまして、陶芸でいうところのトンボというのはこの竹串とかを十字に組んだものなんですけど、これはろくろで同じ形のものをいくつも作るときに使う ものさし みたいなやつです。
例えばこれ↑はちっちゃい湯呑み用のトンボなんですけど、横幅が湯呑みの直径で、真ん中から下が湯呑みの深さになります。入れてみるとこんな感じ。
トンボの方がちょっと大きいのは、粘土で作った大きさから 焼き上がりまでに少し縮むからです。これで見ると ひとまわりって感じですね。焼き物はどれも ひとまわり大きく作られています。
庚申窯の粘土だとだいたい元の大きさ×1.17でトンボのサイズを作っています。2割いかないくらいですね。ところでこのトンボの真ん中の白いのは木工用ボンドでして、今日作ってたトンボのボンドがまだ乾いてない状態のものなんですけど、
今まではこの真ん中を止めるのに1枚目の写真のように粘土を使っていて、粘土を割ったら再利用できるようにトンボを作っていましたが、
最近では、この先何度も使うことになりそうな 定番感かもしてるやつは、この↑黄色い糸で縛ってボンドで固めています。
ボンドのあまった部分を拭き取ったのが2枚目の写真のトンボになるんですけど、このボンドの容器がまたえらい汚いなと思いまして、ホコリがたまってるのかと思ったら全部スプレーやペンキの跡なのです。
裏側の方がもっとカラフルに汚れてたんですけど、いろんな色を使っているということは、これは私が大学生の時に持っていた木工用ボンドになるんですね。
大学生の時、ペンキやスプレーで ベニヤ板に絵を描いていたので、その際のファミリーの一員なんでしょうけど、結構たっぷり中身入ったままですなあ兄さん、そんなにボンド兄さんの出番ってなかったのね、そして何年も半分野外みたいなとこに置いといても固まったりしないのね、
と木工用ボンドの有用性を再確認しました。ちなみにそのとき描いてた絵がこんなんですね↓
思えば当時、ワンルームといえば聞こえのいい一部屋のみのアパルトマンに住んでいましたが、その部屋の中でペンキやスプレーで絵を描いてるもんだから、なかなかケミカルな環境にいました。
あとで絵を描く人に「油絵を描いてる部屋って臭くて体にも悪いしずっといられないよね」などと言われて、
「いや私はベッドのすぐ横に大量のペンキとスプレーを積み上げて、なんならベッドに座って描いたりしてるし 床にも結構飛び散ってるから、出ていくときにどうやって掃除したものか悩んでるくらいだけど全然平気ですよ」と答えましたが、
それはもうお前の頭がおかしくなっているんだ と言われました。もしかしたらそのおかげで脳が柔らかくなったのかもしれませんね。
ちなみに部屋を出ていくときに自力で床に飛び散ったペンキを除去しようと、これまた匂いのきつい剥がし剤を使って、すっかりきれいになるかと思ったら、フローリングのニスも溶けて、さらにその下の木目模様までなくなりました。そのとき私は
「ああ4年間木の床に住んでいると思っていたけど、実はこれはプリントされたものだったのだなあ」と裏切られた気持ちになりましたが、不動産屋さんが来て「余計なことすんなよ、ペンキ汚れだけだったらもっと簡単だったのに」と罵声を浴びせられ 修復費として幾ばくかの金銭を奪われ 都会は怖いなあと思いました。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目