2020/07/07 01:54

7月6日 雨
本日のBGM Walter Wanderley

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今日は朝から雨がよく降る日でした。今も降ってますけど。

熊本では豪雨による土砂災害がまた起きてしまって大変だそうですが、雨であんなにまでなってしまうというのは なかなか予想できないですよね。


庚申窯のある福智町でも避難勧告が出ましたが、庚申窯の立地は標高高めなので水に浸かるということはないんですけど、不安要素は裏の池と裏の杉山ですよね。

もし雨が降り続いて地盤が緩んだら ちょいとやばいかもしれませんが、まあその時はその時ということで。

庚申窯のすぐ前には川があって、そこの水量が危険度のバロメーターになっているんですけど、今日見た感じでは割と普通だったのでまあ心配ないでしょうという感じです。

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裏手の杉山もあんまり雨が長く続いたら、流れてしまうこともあるかもしれませんが、果たして植林された杉だから土砂災害が起こりやすいのか、それとも土砂災害が起きそうなところに保水力のあるスギを植えたのか、その辺はわかりませんけど、

杉山というのもなかなか不憫なもので、「これから日本はどんどん材木が必要になるから」ってってどんどん杉を植えたら、杉が大きくなる頃には経済成長のおかげで外国から木材を買った方が安上がりになって、その結果いらなくなったから放置されてしまって今に至るわけで、

同じようなことでブルーギルとか食用ガエルとかも食料にするために輸入したら「やっぱまずいからいらね」ってなって 今では生態系を壊す悪者だと非難されております。


あるいは戦後すぐのベビーブームの時に、「このままでは人口増加で日本がパンクしてしまう」ってって人口を減らす政策方針を取って、子供を生まないようなキャンペーンをしてたら、今になって少子化が問題だと言われて、どうもその時は良かれと思ってやったことでも、のちのち問題となって返ってくるということが往々にしてあるみたいですね。


もしかしたら今の少子化対策が功を奏して、人口が増え始めた50年後には、AIや機械による仕事が増えて、「人間の労働力なんていらね」ってってまた人口問題が取り上げられたりするんじゃないかしら。

つまり良かれと思ってやったことでも、いいことばかりあるわけじゃないぞ、ということでしょうか。


焼き物を作っててもそんなところがあります。絶対にいいものに作りあげようと気負ってやったら、焼き上げで失敗したりして、ほんで適当にやってたらそれなりにうまくいったりすることもまた往々にしてあるので、

もう私は 形を作る段階までは気を使うけど、釉薬とか焼くとかの自然に任せる割合の大きいものは適当にやろうと思いました。適当にやってる方が自然なバランスができているみたいです。


例えば釉薬をかける時でも、同じ形で作った器に、それぞれに同じ量の釉薬を吹きつけたりすると失敗することがあります。それは器のボディと釉薬とのバランスが取れていないためですね。

同じに作ったつもりでも器によって ボディに厚みのあるもの、薄いものというようにそれぞれ差があって、厚みの差は保水量の差でもありますから、それぞれにかけられる釉薬のキャパシティは異なるんですね。

そして焼いている時の釉薬の発色も、ボディとのバランスが取れてるときにしっかり色が出るのであって、色を出すために多めに釉薬をかけたらむしろ色が悪くなったりします。

釉薬がけでいえば、釉薬の中に器を浸けて、自然に吸い込む分だけがその器にとっての適量になるんですね。それ以上を無理やり上乗せしても却って発色が悪くなります。


こちらが意図してやることというのは、その時の自分を安心させるためだけのものでして、結果として良い面と悪い面というのは どちらを選んでもそれなりに出てくるものなんでしょうね。


あんまり努力しちゃうと努力した分の見返りを求めたり、努力した量に比例してどんどん引っ込みがつかなくなるから、その価値観にすがるしかなくなったりします。まあ創作される方はその先に何かある場合もありますが、

日常生活で、特に「誰かのため」に何かをしてあげることというのは基本的には自己満足であって、それに対して相手に見返りを求めたりすると自分が辛くなるので、

自分が楽しめる範囲で適当にやってたら それなりのバランスで色々回るんじゃないでしょうか。植えない森づくりという考え方がありますが、時間はかかるけど 長い目で見ればそれが一番いいような気がします。



おれ


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目