2020/07/12 02:59

7月11日 くもりときどき晴れ

本日のBGM Klang

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このお皿↑は前に個展をやったときに作ったもので、その時はアイデアだけの、実用性とかは低い コンセプトカー的な感じで考えたものですが、元々は「マド」というお皿がありまして、それがこれなんですけど↓


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このマドというお皿は確か 高さがありつつもあまり圧迫感がないように、向こう側が見えることで、お皿だけで作り上げる世界というよりは、周りの景色も取り込んで調和するようなお皿、ということで作ったものだと思います。


それでこの輪っか状の陶器に木を渡して、その上に置かれたものを手掴みで食べるというスタイルを想定してまして、

となると この木をもっと幅広いものに変えたら、1人一皿じゃなくて、2人で向かい合ってても、あるいは横並びでも、一皿で2人が同時に楽しめるんじゃないかと思いまして、輪っかの向こうに相手が見えたりしてね、

なんかそういう、食事相手との親和性を高める機能を持つこともできるんじゃないかしら、というようなアイデア段階の器です。


左上に切れ込みがあるのは明り窓の役割のためなんですけど、このスペースを使って花とかをはみ出させたりしたら 高さを意識させることができて、見た目のハッタリがきいたものにもなるんじゃないかしら。花器としてもお使いいただけますが、作るのが大変めんどくさい器でもありますね。


そのマドのお皿をもっとシンプルに、渡す板を長くしても使えるように、と考えて作ったのがこちらの「リング」になります。

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もうマドの時点でだいぶ怪しいんですけど、こっちのリングもお皿と呼ぶのが大変に憚られますね。お皿ではないですね。

リングは2つの輪っかを紐で結んで一組みにしたもので、この穴の中に板を渡すことで、マドとはまた違った楽しさがあるんじゃないかと思っています。まあこれも当時作った限りでアイデア段階のものですね。

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今回の写真のものは色がついていますが、真っ白なものもありまして、そちらを基本で考えていました。

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さっきのマドに対する優位な点としては、作るのが簡単ということと、収納スペースを圧迫しないというところです。マドの方はめちゃくちゃかさばりますので、天井に棒でも設置して ひっかけるとかしないと実用的な収納性が全くないんですけど、

こっちのリングは たためば1cmくらいになりますし、壁とかに掛ける事もできますので収納性は高いと思います。懸念としては、果たしてこれを陶器で作る必要があるのだろうか、ということですね。


リングを2組使うと長い板を渡して使う事もできます。この写真↓で渡してる板が普通の角材なので、そこは良い感じの木を使えばまた雰囲気も変わると思うんですけど、持ち運びも輪っかの部分を持てばわりと持ちやすいので、輪っかの部分を もっとシンプルな形にできれば意外と実用性はあるんじゃないかと思います。パーティー感出そうです。

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これをもっとシンプルにするなら、輪っかを紐で結ばずに、木の方に輪っかが噛み込むような彫りを入れて、カコッとハマるように作ったら、輪っか2つと木の板だけで、長さに関してはかなり自由度のあるお皿になるんじゃないかしら。

これを作った時もそれを考えましたが、木の細工がめんどくさそうだし、時間も足りなかったので、2つ1組案を採用しました。しかしこれは陶器で作る必要はあるのでしょうかね〜。でも暇ができたらシンプルな案を試してみたいですね。


せっかくなので くろつる屋のストックを置いているテーブルに飾り台として設置してみました。こういう使い方もできますね。

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やっぱりリングが2つ1組ってのが野暮ったいし、無駄になってるスペースも多いから左右一つずつのリングで板を固定できたら見た目として結構カッコ良くなるんじゃないかしら。いつかチャレンジしたいですね。


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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目