7月16日 くもりときどき晴れ
本日のBGM Emil & Friends
お店の裏口のくつぬぎのところにダンボールの筒が落ちてまして、これは焼き物が割れないように包む緩衝材、通称プチプチと言われるあれが巻きついていた芯でございまして、このサイズだから60センチ×10メートルくらいのロールの芯でしょうね。
ちなみにイギリスに行った時に このプチプチのことを英語ではバブルと言っていまして、私はちょっと外国に行っただけで現地の文化に感化されて、それをさも前から自然にそうしてたみたいな雰囲気で他人に見せびらかすことによって、自分の情報優位を誇示して、
「わたし日本の常識とは合わないんだよねー」などと言って自分に個性がないもんだから 他者との差別化のために 外付けする個性として選ぶのが外国旅行の体験という大変にソフィスティケートされた人種として、それ以来 プチプチのことをバブルと言うものの、伝わらないからプチプチと言い直すという時期がしばらくありました。
やはりいくつになっても少年の心を忘れてはいけないと思うんですよね。少年の心に需要があるのって 付き合いたての頭が狂ってる時期のカップルだけでしょうが、童心に帰るというのも自らの現状を省みるのに有効な手段なのではないでしょうか。
などとそれっぽいことを言ってみて、私はこれに手を突っ込んでみたいだけでして、そして腕の先に銃が取り付けられた設定でいこうと とりあえず突っ込んでみたものの60センチ長えですね。私のイメージではロックマンのつもりなのにこれでは鯨波兵庫のバランスではないか。
てことで ちょうど半分のところに点線があるから、チューチューアイスを割る要領で折ってみたら 非常に心地よい感触で「パキッ」と割れまして、わたしは小さい頃からこのバブル、ではなくて プチプチに囲まれていましたから、プチプチを潰して遊ぶ人の気持ちがわからなくて、
むしろプチプチは空気が抜けない限り再利用できるから うちにとっては立派な資源であって、暇つぶしのために潰すなんてとんでもないことだから、そんなに何も考えずに指先を動かしたいんならグリーンピースの豆むきでもやってろよ!と思っておりまして、
プチプチをつぶすという行為に魅力、破裂感触の快感、反復行動の中毒性など微塵も感じていませんでしたが、この点線の入ったダンボール芯を割る感触はビリビリビリとかではなく「パキッ」と大変心地よい感触で割れて、なるほどこれに似た快感がプチプチ潰しにはあったのだなあと思いました。プチプチロールはすべてのパーツが人を気持ちよくさせてくれるんですね。
短くなった筒を腕にはめてみて思うのは、棒状になった腕にすごく不安感があるといいますか、四肢の末端が膨らんでないと どうもしっくりこないですね。
手足の先端があることで腕全体も認識しているのであって、だからそこがつるんとしてたら ちょっとなんか変! って感じるみたいです。そういえばロックマンの銃の部分も膨らんでますもんね。
このロックマンがアメリカで販売された際に、名前がローカライズされてメガマンという名前に変わりましたが、このメガマンのパッケージイラストでは青と黄色のタイツを着たおじさんが普通に銃を持っちゃってます。
このパッケージからは、当時 国を跨ぐとこういう事態も起こるのだなあと、インターネットが発達していなかった時代に想いを馳せることができて、情報伝達のいたずらが作り出す芸術というものに心を打たれます。
この絵を見ると「かわいい」という概念は創作において とっても大事な要素だなと思い知らされます。かわいいが世界に広まって本当によかったですね。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目