2020/07/24 04:08

7月23日 くもりときどき雨

本日のBGM The Crystals 


画像1

一昨日くらいに作ったコーヒーカップのボディから何かの芽が生えていまして、この双葉の芽は、屋外で仕込んでいる時の粘土にはちょいちょい生えているんですけど、成形した後の粘土から生えているのは珍しいですね。少なくとも私は初めてです。根性新芽ですね。もちろん抜きますけど。


さて昨日焼いた窯から またいろいろ焼き物が出てきてまして、こちらは「お茶を飲むための器」というお題で今作っているやつなんですけど、今回の焼け具合もまあまあ良い感じです。

画像2

小ぶりな湯呑みとソーサーのセットでして、ソーサーとしては主に来客用で、普段使いにはお皿として単体で使えるように、と考えております。


形は庚申窯で昔 作られていた湯呑みの形とサイズをほとんどそのままに再現して、高台だけ、ソーサーで足元が少し隠れる分 高めにしました。

画像3

こちらの色はボディが黒釉で、内側と外側の上部だけワラ白釉 という組み合わせで、朝鮮唐津っぽいやつなんですけど、この土には若干ワラ灰の成分が薄かったみたいですね。鉄分が多い土なので ワラの成分が飲み込まれちゃったかなーという感じです。これはこれでいいですけど。

しかし この釉薬の掛け方は、湯呑みとかなら問題ないんですが、お皿だと焼き上がりが かなり平たくなっちゃうみたいですね。

画像10

画像4

この↑2枚のお皿はもともと同じ形で、上のお皿が通常の釉薬の掛け方、下のお皿が表ワラ白の裏黒釉なんですけど、下の皿の方が かなり平たくなっています。

釉薬は引っ張ったり、焼き物を柔らかくしたり という作用があるので、表裏にかけた釉薬の厚みが違うことで、こんな風にへたっちゃうんでしょうか。まあソーサーとしてなら平たいのもありですけど。

画像5

裏がこう↑で、表がこれ↓です。皿の方はワラ白釉の色の出方がちょうどいいんだけど、一部剥離して土肌がむきだしになっていますね。

剥離している方が火口に近かったというのもあるんでしょうが、フチの部分の釉薬のノリが悪くて、つまりエッジのところに釉薬が十分にかかっていなかったので、そのところが剥離しやすかったのかもしれないですね。

画像6

これはこれで山みたいな景色が出てて 良いような気はします。でも量産を考えるとどうかしら。朝鮮唐津スタイルの釉薬はこの器のシリーズに加えるかどうか検討中ですね。ちゃんと焼けたらいい色なんですけど。ソーサーは全面ワラ白でもいいかもですね。どうせ裏見ないだろうし。


この丼↓くらいのワラ白釉の焼け具合が、私的にはかなり良いですね。これを毎回出るようにできればいいんですけど、ただ今調整中です。

画像8

庚申窯の青は主に酸化銅が色を出してくれているのですが、この青↓ というか水色は、ワラ灰と 粘土の中の鉄分が反応して出してくれているもので、銅による青に比べるとかなり爽やかな色合いです。天然の色感覚に近いような。

画像9


お茶の器は4色〜6色くらいのバリエーションを用意したいと思っているので、それぞれの色が揃ったらまた紹介させていただきたいと思います。

画像7


あといつものように無意識で作ったこのオブジェもなかなかいい感じです。黒釉が結構手触りがいいんですよね。つるつる とさらさら の中間みたいな感じで。

画像11

画像12

手の中で転がしたりするのになんか良い形です。マッサージとかリハビリの道具とかになりそうな感じ。そして若干卑猥です。

画像13

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目