2020/07/29 00:46
7月28日 くもりときどき雨
本日のBGM Ozzie Kotani
連日雨が降ったりやんだりで はっきりしない天候が続いておりますが、お昼ご飯の時に祖母が「このテレビのデリケートなことには驚いた」と言い始めまして、なんやまた機械壊したんか、と思いましたがそうではなく、テレビとはネットフリックスのことだったみたいで、
お昼ご飯を食べている食堂には 貰いもののプレーステーション3がテレビに取り付けられていまして、このゲーム機でもって ネットフリックスやらユーチューブやらアマゾンのやつやらの 動画配信サービスの映画やドラマなどを見ることができるようになっておりまして、ま、そのアカウントの方も共有させてもらってたりするんですけど、
そのネットフリックスで、普段は福岡市内に住んでいる姉が帰省した際に「ネットフリックスの 愛の不時着 が面白いから見やがれ」と祖母に進言しまして、内容も面白そうだし 孫との共通の話題にもなるし ってんで祖母はネットフリックスでドラマを見始めたわけですけど、
最初は私や父がプレーステーションを操作して、ドラマの画面を出していたのですが、「それほど複雑な手順があるわけではございませんし、コントローラーの操作を誤って機械が火を吹く といった自爆ボタンみたいなものも存在しませんので、安心してご自分で操作されてください」と私から進言しましたところ、
最初の方はなかなか覚えられなかったようですが、愛の不時着の2周目を見終わった今ではすっかりコントローラーの操作にも慣れたもので、中国語を勉強していたこともあって中国ドラマがもともと好きで、ええもん手に入れたわいと 中国ドラマを色々と見ていたら、
「あなたはこれも好きかも」みたいにネットフリックスが提案してくるドラマの中に 自分でも忘れかけていたような昔見た中国ドラマが出てきたらしく、懐かしさからそのドラマを見て、「なんてこの機械は賢いんだ!」という感動の言葉が「最近のテレビはデリケート!」という言葉で表現されていたということなのです。ここでのデリケートは気が利いてる的な意味合いだそうです。
最初は「私には難しくてわからない」と拒絶していましたが、やらないから実際以上に難しく思い込んでいるだけで、やってみたら案外できる っていう例のやつでして、自分でコントローラーを操作して、その結果 昔の思い出を新しい仕組みの中に見つけることができたことは、懐かしさと同時に達成感もあって とても感動が大きかったようです。
私としても大変にこれは良いことだなあと思いまして、懐かしいという快感は絶対に大きいと思うんですよね。老いていく事は何も良いことがない みたいに言われますが、歳を取った分 思い出もたくさんあるわけで、祖母がこれまで見てきたドラマの合計時間は膨大な量でございまして、
昔見たドラマを見ることで、些細なシーンから「この時は確かこんなことがあった」とか思い出すことがあるでしょうし、今でも祖母は中国語に関心があるから昔は わからなかった言葉のニュアンスもわかるようになって、当時とはまた違った面白さを発見することができたりと、
同じドラマでも 見たことのない人にとっては「古いドラマだなー」という感想しか持てないものでも、見たことのある人は 当時の思い出とともに見ることができるので、思い出×ドラマで感動10倍界王拳と言いますか、過去に見たドラマや映画というのは、今ではその人の思い出資産なのだと思います。
祖母の場合は中国語を勉強したという過去も資産で、中国語への意欲があることで過去のドラマは思い出だけではなく、同時に現在進行形の勉強にもなるから、より楽しめるのだと思います。かつて時間をかけたものが、そんな風に思い出となって返ってくるのはいいですね。
そして過去を思い出す事というのは、生きてきた事を肯定することにつながるんじゃないでしょうか。それは歳を取った分だけ味わいが深くなると思います。祖母と動画配信サービスは大変に相性が良いと思いました。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目