2020/08/04 02:56

8月3日 晴れ

本日のBGM The Rance Allen Group / Reason to Survive


sara_redのコピー

このお皿、名前が「サラ」というんですけど、サラという名前の由来は、リバーシブルな作りなので裏表使うことができて、それぞれで違う色にしてるから、レコードみたいにA面B面ってことで、レコードのこと「皿」って言いますし、それからとって「サラ」という名前になったんですけど、

でも他に作っているものも もれなく皿な訳で、これだけがサラっていう名前だと まるでこれが私の作るお皿の代表でござい っていう感じがして、あと言葉に出して言うと「このお皿に名前はあるんですか?」「サラです」「いや皿だってことはわかってるんだけど」ってちょっとややこしいことになるんですよね。


あ、でもこれ一見お皿っぽくないから、お皿っぽくない器に「これはお皿なんですよ」という意思表示をさせるために、あえて名前を「サラ」というストレートな名前にしてるんです。って言ってたら納得感上がりそうですよね。その後にレコードのくだりを付け加えればいいですし。それでええやんそうしましょ。今後はこの説明でいきたいと思います。


レコードつながりで言うと、このお皿、分厚くて重くて扱うのに不便なんですけど、この物体感というか、扱い方を含めたアナログ感というか、そういう面でも通じるところがあるかなあと思っているんですけど、

この分厚い形というのが作る際に大変厄介でございまして、まずこのお皿を作るにあたって必要なのが、粘土とナイフと適当な型紙と新聞紙になります。形がシンプルな分 道具もあまり使わないですね。

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この型紙は とりあえず円を使っていますけど、バリエーションとしては楕円とかもいいかも知れないですね。私は型紙にプラスチックのシートみたいなのを切って使っています。ホームセンターで畳みたいなサイズで売ってある、割と厚めで丈夫なやつですね。

前はダンボールとかでこの型を作っていましたが、型に沿ってナイフを滑らすと、段ボールではだんだん形が歪むし、水分にも弱いのでこのシートを使うようになりました。

ちなみに書かれてる数字は263mmってことですね、直径が。Aとかは土の種類で、土ごとにどれだけ焼き上がりが縮むかを書くんですけど、これにはまだ書いてないですけど、まあ普通に焼いて24センチくらいですかね、焼き上がりが。粘土の厚みによっても変わるんですけど。


サラを作るには まず粘土を揉んで空気を抜きます。さっきの粘土↑ を揉んだ後がこれですね↓

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焼き物というのは粘土の中に空気が入ったまま焼くと、焼いている最中に閉じ込められた空気が膨張して、餅を焼いた時みたいに そこだけ膨らんだり、ひどい時は破裂したりするので、まず最初に粘土を揉んで空気を抜くのですが、

このサラは出来上がりが分厚い形なので、その分空気が紛れ込んでしまう確率がすごく高くなります。て言うのも、この粘土の量で作れるサラは一枚だけなんですけど、普通のお皿をろくろで作るなら同じ直径でも4〜5枚は作れるので、単純に4〜5倍くらいの量の空気が入り込んでいますよね。


空気が入っていても、普通のお皿をろくろで作った場合、指の感覚で空気が紛れ込んでいるかどうかが わかりますから、空気のある箇所に針を刺して 空気を抜いたり、あるいは作らずにグニャんと潰して、粘土に戻したりするのですが、

このサラの作り方では、粘土の中に空気が入っているかどうかを途中で知ることはまず不可能なので、一番最初の粘土を揉む作業、陶芸ではこれを菊練りと言いますが、菊練りをかなり丁寧にしなければなりません。

上↑の粘土の量できる サラが1枚ですから、サラを一枚作るのに毎回菊練りをがっつりやらなければいけないので体力的に結構大変ですね。菊練り結構疲れますからね。

真空土練機という空気の入らない粘土もみもみマシーンがあれば、手で揉む工程はかなり省略できるのですが、生憎庚申窯には真空土練機がないので、空気は手で抜け ってことで毎回菊練りしています。

粘土を揉んだところで結構な文量になったので後の作業は次に続きます。


おれ800

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目