2020/08/08 00:47

8月7日 くもりときどき晴れ

本日のBGM Jimmy Reed - Found Love

子猫〜20日目〜

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子猫のうちから人間にも慣れさせなあかんということで、数日前からちょいちょい引っ張り出してたんですけど、それが功を奏してだんだん慣れてきたっぽいというか、割と落ち着いていまして、そろそろ動き回りそうな感じです。


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さて引き続き棚板の掃除についてなんですけど、掃除っていうのは何かっていうと、焼成中に流れついてしまった釉薬を削ることです。

流れ着いた ってのはどういうことかと言いますと、前回の続きですが釉薬というのは1,200度前後で熔ける鉱物でございまして、窯の中では出来立てのお餅みたいなドロッとしてムチッとした弾力のある液体になるんですね。

それが食器の表面で保たれたまま焼成が終わったら、普段お使いになるような、表面がガラスコーティングされた陶器が出来上がりまして、それが表面から流れ落ちてしまったら失敗作となります。


庚申窯のような、色のある釉薬を多く使うところでは そんな風に 棚板に釉薬が流れ着いてしまうことがよくありまして、焼いている時に棚板の表面に流れ着いた釉薬は、冷えるとガラス化して棚板にくっついてしまいます。

棚板にくっついた釉薬は、そのまま焼いてしまうと もちもちトラップと化して、新たに焼く器をダメにしてしまうので、棚板に流れ着いた釉薬はきれいに除去する必要があります。それが棚板の掃除で、使う道具がこちら↓です。

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グラインダーと手袋とメガネと手拭いですね。釉薬というのは要するにガラスですので、棚板から除去するにはこのグラインダーでギリリリリンと削り倒す必要があって、その時にガラスのつぶてが体にバシバシ飛んできますし、ガラスの粉末もぶっひゃーと立ちこめますので、手と目と鼻と口をガードする必要があります。


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あとグラインダーの音がむちゃくちゃうるさいので 耳に押し込める式のイヤホンも大事ですね。強烈な雑音は聞いてるだけで結構疲れるし、ストレスにもなると思うので、グラインダーを使う際は耳栓をお勧めします。まあ感覚器官は全部塞げってことですね。


まずは棚板の裏側をグラインダーできれいにします。

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裏側をきれいにするのは裏側に不燃性のゴミがあると、焼いている時にゴミが落ちて、焼き物にくっついてしまうのを防ぐためで、あとは棚足にのせる時にカタカタしないようにするためです。

棚足ってのは黄色いところ↓ですね。3箇所で柱を作ります。3点が一番安定しますので。

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次に表で、水色っぽいの↓が流れ着いた釉薬なんですけど、こんな風にくっついてる場合は グラインダーではなく金槌とノミで剥がします。

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広い面積でくっついた釉薬はどっか1箇所で下に隙間を作ってやれば パキッと全部剥がれるので、ノミで剥がした方が効率が良いです。

でも釉薬がつるーんときれいにくっついていて ノミの ”かかる” ところがない場合には、グラインダーで端っこの方を1箇所削って ガラスに断面を作ってから そこにノミをぶち込みます。


それで釉薬を剥がした棚板がこれですね↓

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削ったところが黒くなっていますけど、これが元々の炭化ケイ素の部分で、白いのは何かっていうと、アルミナでございまして、アルミナは何かっていうと酸化アルミニウムのことでして、酸化アルミニウムは何かっていうとやっぱり詳しくはウィキペディアをご覧くださいってことになるんですけど、

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これで見ると酸化アルミニウムっつーのは ルビーとかサファイアのことらしいですね。ていうかルビーとサファイアって同じものだったのね。ていうかルビーとサファイアって言ってたらまたポケモンの方に流れていきそうですな。ということで また長くなってしまったので次に続きます。


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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目