2020/08/15 04:32

8月14日 晴れ

本日のBGM Amy Winehouse - Me & Mr Jones

子猫〜27日目〜

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最初の方のシーンで主人公と訳知り顔のジジイが話す場面があるんですけど、金曜ロードショーだから登場人物にはいちいち役名と本人の名前が字幕で出まして、それでこのジジイがエリオット グールドだということがわかりまして、エリオットグールドは昔の映画で好きだったので「今こんな感じになっとるんけ!」と驚きまして、字幕で出なかったらたぶん気づかなかったので、金曜ロードショー版ではこういう楽しみ方があるのね、と思いました。


オーシャンズ8では、高級ダイヤをカルティエから盗むという計画を主人公が企てて仲間を集めるのですが、その計画には かつて自分を裏切った男に対する復讐も含まれていて、まあオーシャンズシリーズですから復讐もダイヤ窃盗もさくっと成功するんですけど、

その複数人のチームワークによる犯行シーンはやっぱり見ていて楽しいし、暴力描写なしで盛り上がるので、大変に品が良く、映画的な快感だなあと思いました。暴力描写が入るとどうしても映画であるとか演技であるといったことを意識してしまうので、こういう軽い作りの映画では暴力描写がない方がむしろ緊迫感を作れる気がします。実際のセレブたちが本人役でいっぱい出ていますから現実との地続き感ありますし。


犯行シーンは楽しいんですけど、もうちょっと意地悪に作ろうと思ったら いくらでもできるなあと思いまして、想定外のアクシデントによる計画の乱れで 見てる人の緊張を高めて、物語の展開もグリグリ揺さぶって、リアリティも作ることができると思うんですけど、この映画ではその要素が非常に軽くて、大変優しい作りだなと思いましたが、それ故に祖母も程よく楽しめたんじゃないかと思います。

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今回アンハサウェイが騙される側の美人女優として出ているんですけど、アンハサウェイが相変わらず美人で、というか美人すぎまして、ていうのももはや「美人女優」というステレオタイプなキャラクターとして描かれていまして、アンハサウェイが自分自身のパロディをやってるようなもので、

それが滑稽でありつつ とても魅力的で、映画の華やかさをしっかり担っていて大変に良かったです。金曜ロードショーの吹き替えで見てたからより一層パロディ感が出てて、こういうのも金曜ロードショーならではだなあと思いました。

まあそのアンハサウェイを典型的な美人女優像として、美人女優とはこういうものだという世間の思い込み、なんていうか「女に嫌われる女」とか「目立ちたがりの美人はバカだ」みたいな、男が喜びそうなキャラクターを作り上げておいて、後半でそのキャラクターからさらっと脱却する逆転があるので、その辺も痛快なシーンでした。「そんなに単純なものだと思っていたの?」みたいな。


そのアンハサウェイがターゲットの男を2重の意味でハメるシーンがあるんですけど、その時に流れる曲がエイミー ワインハウスの"Me & Mr Jones"でして、私はエイミー ワインハウスがめちゃ好きなんですけど、

そのMe & Mr Jonesという曲は、かつて愛した男に裏切られて、今ではその愛も冷めたわって語りつつ、でも私とミスタージョーンズの間には誰も入ってこれないと歌うので、矛盾した感情、どちらの気持ちもあるんだという この歌の心情がそのまま この映画の主人公の心情を表していて、ここでも「そんなに単純なものじゃないよ」 ということを教えてくれます。


ちなみにこのMe & Mr Jonesという曲には元ネタがありまして、ビリー ポールのMe & Mrs Jonesという曲なんですけど、こちらの内容では 男とミセスジョーンズは不倫関係で、でも2人の間には確かな愛があると歌っていて、

この2つの歌の関係も、かつてのオーシャンズシリーズと、この映画との関係につながるようで、巧みな選曲だなあと思いました。ちなみにジョーンズというのは英語では隣人の代名詞として使われることがあるそうです。

楽しくて華やかで軽い、お菓子のような映画で、娯楽作品として大変にいい映画だと思いました。



偽造ダイヤを作るのにジルコニウムを使うんですけど、ジルコニウムは陶芸でも使いまして、ジルコニウムについても書こうかと思ったんですけど また機会があれば紹介させていただきます。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目