2020/08/17 06:19

8月16日 晴れ

本日のBGM Dinah Washington - Let Me Be the First to Know

子猫〜29日目〜


今日も暑いわけですが 最近気づいた事がありまして、その部屋が暑いかどうかって日の当たり具合と風の通り方だなあと思いまして、あ、そんなことは常識なんでしょうけど、体感したというか、

今猫たちのいる一部屋だけの建物a.k.aプレハブが かなり暑くて、エアコンのない部屋なので窓は全開で、扇風機と冷風扇回してる状態なんですけど、建物自体の日当たりが良いのと、

近くに石垣とか建物があるので 盆地状態になってて風の抜けが悪くて それで熱がこもりやすいのねと思いまして、

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それでいくと焼き物を作っている工房の方は 裏手にでっかい木と坂道がありまして、この木のおかげで日当たりが緩和されて、坂道で地形に高低差がある事で 風が常に対流するので、窓と扉を開けておけば風が通ってかなり涼しくなります。それで冬寒いのか!って思いましたけど。

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この木↑ですね。正確にいうと何本かの木の集合体なんですけど、工房の窓から見るとこんな感じです↓

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窓と扉を開けてるだけで 汗もかかないくらい涼しくなるんですけど、風がよく通るというのは焼き物の乾かし方には良くなくて、もちろん天日干しで器を乾かす産地も多いですが、

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それができるのって 使ってる粘土が天日干しに耐えられる性質であることと、器の作りがやや厚めな事が必要条件でございまして、あがの焼ではそのどちらもないので、作り立ての器は屋内で乾かすのですが、

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この 工房 風通し良好バージョン にしてしまうと、風が器にあたって 風の当たる側だけどんどん乾いていくので、そうすると変形したり、割れたり、その後の加工がやりにくくなったりするので、風通し良好状態にする際、乾かし途中の器たちはこの部屋から追い出してしまいます。

特にお皿の形が一番ダメージを受けやすいですね。

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この部屋の棚↑に残ってるのは全部乾き切っているやつです。器がもう変形しないくらい乾いてしまえば風が当たっても問題ないんですけど。

作ってる部屋から追い出された生乾きの器たちは 隣の部屋の棚に移住させられます↓

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こっちは素焼きの器に 釉薬をかけたやつを置いとくための棚で、こちらの部屋は風が通り抜けないようにしておいて、隣の部屋で作ったら すぐにこちらに移して ゆっくり乾かします。ゆっくりといっても連日の好天でかなり乾燥スピードが速くなっていますね。

こんな感じで自分の体感温度と器の乾き方に折り合いをつけながらやっていますが、以前は扉を閉めて 風を通らないようにした上でエアコンもつけず 上半身裸で だくだくになりながら作ってましたけど、同じ工房を使ってた父や祖父は迷惑だったでしょうな〜。低温サウナみたいなことになってましたからね。

まあ薄作りで大きい皿とか作るときはそうする必要があるんですけど、体力もあったせいで融通の効かないところもあったようです。若さはいつだって傲慢なのです。

というわけで 体感する暑さ 寒さ というのは、周囲の地形を含めた構造的な部分による要因がかなり大きいんだと思います。風水の起こりも そういう地理的な良し悪しを判じるための学問だったみたいですけど、

そんな感じの、構造とか設計で物事を解決するというのはとても好きでして、たぶんデザインと同じ考え方なんですけど、風とか日光とかのエネルギーをうまく利用して、最小限の稼働で快適に過ごせたら それはとてもスマートなことだと思います。

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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目