2020/08/20 05:09

8月19日 晴れ

本日のBGM The Cardigans - Lovefool

子猫〜32日目〜


さっき出かけなきゃいけないので服を着ようと思ったら どの服にもカビが生えていて 着る服がない という地味に嫌な夢を見まして、

実際に庚申窯はそういうところがありまして、木に囲まれてるし、すぐ上に池があるし、敷地内に水路も通ってるから湿気が多くて 加湿器のいらない環境でして、

人間の肌にダメージを与える環境要因の一位が紫外線で、二位が乾燥ですから肌には優しいんですけど、カビたちにも優しくてですね、実際に革製品とかはすぐにカビが生えてしまいます。

ちなみに最近では紫外線、乾燥の他に、工場煤煙や排気ガスなどがシミやシワの原因になることが化粧品会社などの調査でわかってきたそうで、特にピーエム2.5なぞというものは肌の角質よりもサイズが小さいから奥深くにまで入っていって、それが肌に炎症とかを引き起こすんですけど

これはどちらかというと男性の方がよりその被害を受けているようで、まず化粧によるガードがないから入ってきやすいってのと、排気ガスも細かく見れば物質ですので、皮脂や汗が多いと そのぶん大気中の物質はくっつきやすくなるので、夏場は特に気をつけた方がいいそうです。


てことは肌をきれいに保とうとしたら 暗くてじめっとして、外気の入ってこない部屋で過ごしたらいいですよね。その際もあんまり表情豊かに過ごしちゃうと またシワになりますので 表情の変化は控えていただいて、でも顔の筋肉を使わないとたるんでしまいますから シワのよらないところまでで笑う感じ、

だからニヒルな感じの笑顔でお願いしたいのですが、するとジョークもそんな大笑いするタイプのものは避けてもらって、「その冗談分かってますよ」的な確認笑いを誘うシニカルなジョークを中心に過ごしていただければ とてもいい肌を保てると思うんですけど、果たしてそれが異性を惹きつける人物になるかどうかは別問題なようで、いずれかの犠牲を伴うみたいですね。


昔 服飾の学校に行っていた友人から聞いたんですけど、服をきれいに保ちたかったら着ないで飾っとくのが一番だよ と言われて、なんかきれいの本質ってのはそういうもんかもしれないですね。

手なんかも働き者の方が荒れてきますから、いろいろな摩擦によってだんだんと傷がついていってしまうわけですけども、だからと言って何もしないわけにはいかないので、どうやって摩擦と付き合っていくかですよね。


例えば陶器と磁器には価値の上がり方に差があって、磁器の場合は一番最初が完成された美しさだから、その後は「どう最小限に傷や汚れが抑えられているか」で価値が変わるんですけど、

陶器の抹茶茶碗なんかはいろんな人に使われて、シミもシワもバキバキに入ったやつがいいものとして認められて、なんなら一回割れても それを修理した様がまたいい、なんつって 変化したこと自体に価値を見出していて、それは日本人が築き上げた とても素敵な精神性だと思うんですけど、

その精神性は対人間にはあんまり適用されなかったのか、というのも一方で日本人の気質は初モノ好きで、昔からロリコンだったわけですから その辺のチグハグさもまたユニークなところですね。

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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目