2020/08/23 04:57

8月23日 晴れときどきくもり

本日のBGM Flight Facilitie  - Crave You feat. Giselle

子猫〜35日目〜


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1927年に大西洋の単独飛行に史上初めて成功したリンドバーグは当時25歳で、20歳くらいで飛行機のパイロットの訓練を受けていますからキャリア5年での快挙なんですけど、5年間どんな仕事をやっていたかというと アメリカの田舎町を飛行機で回って 曲芸飛行で金を稼いだり、郵便飛行で荷物や手紙を運ぶ民間の仕事をしていたんですけど、

飛行機技術が急速に発展したのは1914年から4年間続いた第一次世界大戦中でして、初めて有人飛行を成功させたライト兄弟がアメリカ軍に「飛行機っての作ったんだけど、これ偵察として絶対役に立つからさ!絶対取り入れたほうがいいよ!」って売り込みするんですけど全然相手にされなくてですね、

当時は飛行機が飛ぶこと自体を信じていない人もいたくらいで、それまでの人間には 自分たちが空を飛ぶ という概念がなかったわけですから、空を飛ぶことによる実用性をうまく思いつけない状態だったんですね。それで確か3機とかそんなくらいしかアメリカ軍は買ってくれなかったんですけど、

いざ戦争が始まってみれば世界中の軍隊が飛行機の有用性に気付いて、偵察もそうだけど、これに爆弾を積んで敵地に行って落とせば戦わずに制圧できるやんけ!ってって爆撃機が誕生して、今度はその爆撃機を撃ち落とすために機銃を備えた戦闘機が開発されて、で次はその戦闘機から爆撃機を守るために また戦闘機が必要になって、

そんな風に空中戦をどう制すかが戦争において非常に重要になってきたため、各国の軍が競って飛行機技術を開発した結果、たったの4年間で ものすごく飛行機技術は進化して、戦争が終わる頃には アメリカ陸軍航空部(のちの空軍)の人員は20万人くらいいたそうですから 飛行機は一気に産業となったわけですね。

第一次世界大戦はそれまでのヨーロッパが経験してきたどの戦争よりも悲惨で、損害も多かったので、戦争が終わったことにヨーロッパ中の人間が喜びまして、そんで こんなひどい戦争はもう2度と起こらない って本気で思ってて、その結果各国の軍隊は一気に規模縮小して、アメリカ陸軍航空部も大量にリストラして、飛行機もバンバン民間に払い下げしたらしいです。


飛行機乗りたちは仕事がなくなってしまったのですが、払い下げの機体も大量にあったので、それを買って曲芸飛行や郵便飛行でお金を稼いでいたんですけど、この2つは最初こそ割りのいい仕事だったかもしれませんが同業者が大量にいますから、すぐに競争が激しくなって、

アメリカは大変広大な国ですけど、当時そのアメリカのどんな田舎に行っても飛行機を見たことのない人はいなかったそうで、それくらい飛行機乗りたちが巡業してたわけですから、曲芸飛行するにも より過激に より危険なことをやらないと観客たちは満足しなくなって、その結果 事故が多発して多くの飛行機乗りたちが死んだわけですけど、むしろ観客は その事故こそ最高にスリリングなショーとして期待していたところもあったみたいです。

それに比べて郵便飛行は安全そうなイメージがありますが むしろこっちのがひどくて、とにかくスピードを売りにしてたから夜間だろうが悪天候だろうが飛ばなくてはならなくて、夜間飛行ってのは 本当に真っ暗な中を進んで行きますからめちゃくちゃ危険で、戦争で死んだパイロットよりも遥かに多くの飛行機乗りたちが曲芸飛行と郵便飛行で死んだそうです。そういう時代にリンドバーグは飛行機に乗っていたんですね。


リンドバーグの話は次に続きます。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目