2020/09/11 09:33

本日のBGM Celtic Woman - The Sky And The Dawn And The Sun

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1927年の5月、若きリンドバーグ青年は たった一人きりでメリケンの摩天楼ニューヨークから東に広がる海の上を 原動機付きの鉄の船で宙を飛んで 芸術の都パリを目指しておった!

東の大陸まで続く海の広さたるや、なんと品川から大津まで3度行ったり来たりしても間に合わないってんだから大変だ!そんなどでかい海のど真ん中でリンドバーグ青年の空飛ぶ船「セントルイス魂号」が氷漬けに!?一体どうなっちまうんだあ?!


っていう感じでしたけども、リンドバーグの飛行機が冷たい気流の中に入っちまってですね、まずセンサー類が凍ったことで気付いたんですけど、もし凍っていることに気づかないまま翼の稼働部分が凍ったりしてしまうと大変なことになっていたわけなんです。

この辺のくだりは映画を盛り上げるシーンとして創作されたエピソードかもしれませんが、とにかくこの冷たい気流の中から抜け出さないと いずれ飛行機は墜落してしまうので、進行方向は一旦無視して、とにかく暖かい気流の方へと飛行機を飛ばします。映画の中で一番緊張感のある場面ですね。

まあリンドバーグが大西洋横断に成功しているのは史実でございますので、映画の中でも結局はことなきを得るのはわかっているわけで、この辺も実話を物語として見せる際に難しいところですよね。どうせ何とかなるんでしょ っていう。


ところで この映画の中では太陽、あの太陽、お日様 SUN 火輪 日天子が結構いいものとして描かれてまして、ギリシャ神話のイカロスの場合は蝋の翼が太陽によって溶かされてしまうわけですけど、そんなヨーロッパの古い考え方にはハマらないぜ!何たっておれらはアメリカ人だから!

という考えがあったかどうかはわかりませんが、この映画の中での太陽は常にリンドバーグを守護するような存在として描かれます。

実際に夜明け前が一番気温が下がるわけですけど、この飛行機が氷漬けになりかけるというのも 陽が昇る直前だからこそ一番しんどくて、でもこれを耐え切れば太陽が氷を全て溶かしてくれる という流れになっているわけですね。


前回出てきたセリフで「方向がわからなくなったら 朝日(東)に向かって飛べばいい」というのがありましたが、何とか冷たい気流の中から抜けたリンドバーグの進行方向 正面から太陽が昇ることで、自分が今まで進んできた道(方角)は正しかったのだということが証明されるシーンになっています。

一回しか見てない上に思ったより時間が経ったので この辺りのシーンの記憶は曖昧なのですが、夜を飛び続けてから朝日を迎えるこの一連の流れというのは、目標に向かって頑張りつつも 迷いがあったり、スランプに陥ったりしてる人たちのメタファーであり、彼らへのエールにもなっているんだと思います。


もうちょい続きます


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目