2020/09/24 09:41

本日のBGM Jakob Ogawa - Velvet Light


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このお皿は鉄赤釉の焼成温度が足りなくて黒い部分が残ってしまった感じなんですけど、私的には これはこれで結構好みです。ちょいと黄色も出ていますね。

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ペーパーがけの終わった器は素焼きになるのですが、このお皿の場合一枚一枚が重く、肉厚なため重ねて素焼きすることができません。

通常であればこんな感じ↓で重ねて焼くことで 窯の中のスペースを効率よく使えるのですが、

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仮に2枚でも 重ねて焼くと下になった方が割れてしまうため、焼く時は棚板一枚につき皿一枚となるので、焼く時の効率はとっても悪いですね。周りの空きスペースにおけるような小皿なんかを同時に作っておくといいんですけど。

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素焼きが終わってこんな感じで、これから釉薬をかけていきます。

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まずこの手回しロクロを用意しまして、

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この上にお皿を乗せるので、角が当たって傷がついたり 滑って動いたりしないようにタオルをかけまして、

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お皿を裏向きに乗っけます。このお皿は一応両面使えるということになってますのでB面の方から色を入れていきます。

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裏側ということで、この面を下にして焼くから釉薬が限られるのです。例えば厚みが十分にないと発色しない 灰釉とかだと、焼いた時に棚板とくっついたりとかしちゃいますし、融点の低い釉薬もリスキーです。

私の場合は大体「白化粧」で済ませることが多くて、白ならどんな色でも相性いいですし、私的に 裏は使うため というよりは、裏面もしっかり作り込んでる っていう態度が好きなんですよね。

てことで こちらが白化粧土↓ 要するに白い粘土です。

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化粧土をこのオーガニックな刷毛に絡めまして、

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裏面に刷毛塗りしていきます。オーガニック刷毛はワイルドな軌跡を残してくれます。

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今回のはわりと自由に作ってよかったので、私の好みで白化粧は薄めで、焼き上がりは地肌が見える程度になっていると思います。あんまり厚く塗っちゃうと剥がれやすくなりますし、

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あと白化粧の層と元の粘土の層という風に奥行きを持たせた方が より自然物っぽくて、それは陶器の醍醐味でもあると思うので、なるべく土を隠さないようにしています。

冒頭の赤いサラの裏面だと こんな感じ↓です。こっちはちょっと白化粧濃いめですね。

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ほんで次は表面に釉薬をかけます。この状態だとわかりにくいんですけど緑色になる緑青(ろくしょう )の釉薬ですね。まあわかりにくいっていうか釉薬を見ただけで どの色になるかを予測することは不可能です。だってほとんどのやつ灰色なんだもの。

コンプレッサーでかけてるので 下の桶は飛び散った釉薬を再利用するための受け皿になっています。

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次は裏面で、裏面はさっき白化粧をかけたところですけど、白化粧だけだと水を吸い込んでしまって、汚れやすくなるので 白化粧の上から釉薬をうすーくコンプレッサーでかけます。うすーくかけるのは白化粧の質感を残すためですね。

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釉薬は何でもいいんですけど、透明釉をうすがけにしてもいいですし、あるいは鉄赤なんかでもいいと思います。鉄赤を使う場合は 薄がけで 焦げ茶色みたいな色になるので白化粧よりは土そのままの色とかのがいいかもですね。

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棚板に接地する部分だけ乾いたスポンジで釉薬を拭き取って くすりかけ完了です。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目