2020/09/27 09:32
本日のBGM Ann Sally - はなのような人
ミナモのお皿作りその2です。
このお皿の肝は 半透明の青い釉薬と、その奥に透けて見える土の模様との調和具合でして、
土の模様は違う種類の粘土を混ぜてつくる「練り込み」という技法で出していて、今回はその練り込みの手順を紹介させていただきます。
練り込みだから裏にも模様が出るんですけど、裏面の方がカッコ良かったりします。この風合いは 木のような印象を持たれることが多いのですが、木目の印象なのかしら。この写真↑のお皿だと右側の真っ直ぐな筋目は確かに木っぽいかもしれませんね。左側はごちゃごちゃっとしてますけど。
練り込みはまず土を3種類用意します。
土の数は2種類でも10種類でも なんでもいいんですけど、私は3種類でやっております。「3という数字は好きで、1は単位、2はその倍、3は残りすべてなのです。」なんということを確かマルセル=デュシャンが言っておったなあ と思い出したので書いてみたんですけど、
私は3が特別好きなわけでもないですし 好きな数字も特にないんですけど、3種類ならAの土、Bの土、Cの土 という風に最初3つの色の種類があるわけですよね。
その土を混ぜ合わせると AとBが混ざった中間の色D、BとCの中間E、AとCの中間Fが生まれて、
今度はDとBの中間G、DとCの中間、DとE、DとF、DとG、、、
という風に3色あれば様々なパターンが生まれるわけで、絵の具も3色でほぼすべての色を作れますし、そもそも人間の視覚が3原色しか捉えていないわけですから 土も3種類で十分だろうと思いまして。
というか3種類以上 土を用意するのがめんどくせえっていうのもありまして。というかそっちが本音でして。
実際に土の色味はそれぞれ似てるので、こげ茶と薄い茶色と白の組み合わせになるんですけどね。その加減が木目っぽくなるのかしら。
土を練り込むには最初にそれぞれの土を十分に揉んで空気を抜く必要があります。
揉んだらそれぞれ同じくらいの太さに揃えます。これは後で混ぜる量を調整しやすくするためですね。ここで気をつけたいのが それぞれの土の水分量で、粘土がパサパサしてるのと、ベチョベチョしてるのを練り込んでも上手くまとまりませんし、
無理して作るとそれぞれの粘土の縮み具合が異なりますから(水分を多く含んでいるほど縮み幅も大きくなります)粘土の境目でぱっくり割れたりします。
なので水分量はなるべく均等に、そして粘土は柔らかめの方が よくくっついてくれます。練り込みは粘土の調整からスタートする技法ですね。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目