2020/10/13 12:34

本日のBGM Joséphine Baker - De temps en temps 


今日は棚足について。棚足ってのは窯の中で焼き物を置くための棚板を支える足のことです。この写真↓のブロックみたいなやつ。これは背が低いやつですが背の高いものもあります。焼き物の高さに合った棚足を使いますね。

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この棚足も繰り返し使えばだんだんと汚れがつくもので、ここでの汚れとはアルミナの固まったのやら 飛んできた釉薬やら 棚板の一部やらで(下↓の写真の小石みたいな突起の部分)、これを放っておくと棚足はどんどんガタガタになって、

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ガタガタになった棚足を使えば 棚板との接触面もガタガタになって、ガタガタになった棚足と棚板を さらに使い続けたら棚板自体が歪みやすくなって、

歪んだ棚板でこんな↓皿を焼くと テーブルに置いた時にお皿もガタガタしてしまうため、棚板の寿命を延ばすためにも 棚足をきれいに保っておくに越したことはありません。

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しかし祖父も父も私も どこかへ弟子修行をした経験がない人たちばかりなので、こういう道具の手入れが大変にずさんで、棚板も棚足もガッタガタだったんですけど、

私がフラットなお皿を多く作るようになったので、これまでの歪んだ棚板では使い物にならなくて、まともな道具を使わせてくれってことで 新品のフラットな棚板を購入して、

棚足もそれに合わせてきれいに掃除して、このきれいきれいのコンビで焼いてたら棚板が大変 長持ちしまして、やっぱり手入れがずさんだから すぐに棚板歪んじまうんだなあと思って、私のきれいな棚板および棚足たちは父には使っていただかないようにしているのですが、

今 2つの窯を焼いては出して、また詰めて っていう風に連日稼働してるため、きれいな棚足が足りなくなったのでガタガタの棚足を掃除して、また私の配下に納めることにしました。我が軍勢がどんどん増えよるわい。


今焼いてるお皿は棚足を横に倒した高さしか必要ないので、棚足の側面だけ掃除することに。こんなの↓は極端なやつですけど。

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棚足にくっついてる凸凹は石くらいの硬さで、へばりついてるというよりはほとんど同化してたりするので、それを削るにはダイヤモンドカッターのグラインダーを使うことになります。

こいつ↓は破壊力がえげつなくて、万が一手に当たったりしたら大変なことになるので、棚足みたいに小さくて動きやすいものは 手以外の何らかで固定しなくてはなりません。万力とかね。

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でも今回削るのは棚足の側面ですから、倒した状態で削れるので、倒した棚足をこんな風に↓並べて、お互いが支え合って動きにくくしてから削ります。

棚足を立てた状態で削るなら 万力で固定して一つ一つ削るか、並べた後ゴムバンドとかで固定して動かないようにするといいと思います。削り作業は次に続きます。

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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目