2020/10/17 10:33

本日のBGM Spencer Doran & White Sunglasses - Fixed Color Swirl


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カラーサンプルの続きなんですけど、オレンジも気になるところなんですよね。こちらも多分顔料系で作ってるオレンジの釉薬ですけど、オレンジとかの綺麗な発色の器ってのはたまにあって、

それは釉薬での発色ではなくて、土自体が特殊で、透明秞なのに土肌がいい具合の、優しいオレンジで 山吹色って感じなんですけど、その色は是非取り入れたいのですが、土が特殊ってなるとこれまた再現が難しいんですよね。

もし土のサンプルがあれば それをセラミック研究所で解析してもらって 組成を再現することができますが、薪窯で焼いてたりして、その焼き方や薪の種類なども重要だったりするので、結局は自分で色の出し方を見つけるしかないのだと思います。


そういえば何年か前に 私が薪窯で焼いた中で オレンジになってたやつがありまして、それがこれなんですけど↓ 今見てもなかなかちょうどええオレンジ具合じゃござんせんの。

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顔料はもともと そういう色のものを 器に定着させて色付けするのですが、釉薬による発色は 焼いた時にガラス化してそこではじめて色が出現するから なんていうか色の力強さが違う気がします。

だから釉薬の色の方が好きなんですけど、でも釉薬で出しやすい色 出しにくい色ってのはあって、オレンジもその一つだから そういう時は顔料もうまく使って いい感じのものを作りたいですね。

ちなみに この↑ぐい呑の土は庚申窯の裏にある池から取れる粘土で、めちゃくちゃ鉄分豊富で、その土を水簸(すいひ:水に溶かして不純物を除去すること)をせずに 作りながら手で小石をどかして

 粘土をなるべく とれた状態そのままで作ったら これ↑の他の釉薬でも いい色に焼けまして、粘土を水簸するしないでも 出来上がりの色が変わってしまうみたいですね。不純物が含まれてる方が色が良くなるってやつですな。

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ちなみにオレンジのやつはバリウムが含まれる釉薬で 確かあんな色になったんですけど、その釉薬は普通の窯で焼いても そんな色にはならなくて、その後の薪窯でも再現できなかったから、そのときの窯の調子でたまたまそうなったってことなんでしょうね。

たまたまできたものを検証して実験して安定的に再現するのが研究者としての態度になるのですが、それはそれとして毎回全然違ってもいいじゃんという運任せな側面も大いにあって、それが薪窯の醍醐味でもあると思うので、思いもよらない色ができるよう来年くらいは薪窯焚きたいですね。まあ毎年そう思って焼けてないんですけどね。来年はどうかな!?



高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目