2020/10/21 19:20

本日のBGM Beverly Kenney - It's a Most Unusual Day


先日 福岡県工業技術センター セラミック研究チームのSさんが来ておったんですけど、Sさんは焼き物博士でございますので 来られた際はいつも色々と質問をぶつけまくっているのですが、

黄色い釉薬について聞いてみたところ やはり陶器で黄色ってのは難しいらしくてですね、顔料での着色が無難になってしまうみたいです。

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ていうのも鮮やかな黄色に発色する釉薬っていうのが そもそも数が少ないみたいで、加えて陶器の場合 土と釉薬が混ざり合って色が出るから、ベースの土の色に影響されて発色が暗くなるみたいです。

てなると磁器土の白いやつが良くて、顔料での発色が簡単で作りやすいから 結局 よくあるような組み合わせに落ち着くみたいですね。



ついでにオレンジについても聞いてみたところ、これもやっぱり難しいらしくてですね、釉薬でオレンジを綺麗に出したいなら ヒ素かセレンか亜鉛がいいとのことですが、いずれも人体にとって毒なので日本では使用禁止なんですな。

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使用禁止というと、前にアーペーセーという洋服屋さんに行った時に茶碗が売られていて、話を聞いたところアーペーセーの創設者の妹が買い付けてるアフリカの焼き物だとかで、織部釉みたいな色のやつでしたが、その発色には亜鉛が使われていて、

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亜鉛を使った食器は日本での生産は禁止されているんですけど 輸入品ということで大変グレーな感じで販売されておりました。 って これ言ってもいいのかしら? でも店員さんが言ってたんだからいいよね。と思いつつ一応調べてみたら あの陶器は観賞用ということだそうで、だったら何も問題ないですよね。あふふ。


まあでも焼き物博士も言っていましたが 陶器としてガラス化した状態から亜鉛が出てくるなんてのは ほとんどないそうで、実際に亜鉛を使用した器を使って年間に摂取される亜鉛の量より 牡蠣とかそんなん食ったときに摂取する量の方がはるかに多いということで 問題はないとも言われています。

でももし亜鉛を使用した器の焼きが甘かったりしたら問題になるでしょうね。ていうか多分そういうのが過去にあったんでしょうね。製造の問題なんですよね。

でも全員にきっちり作れ って強制する法はめんどくさくなるし、包括的に禁止ってのはしょうがないと思います。有田焼の人や楽焼の人も亜鉛が使えたらすげーいい色出せるのにと言っておりました。昔はバンバン使ってましたからね。

そんな感じで昔は使えたのに今は使えないっていう材料は結構ありまして、そういえば少し前に とある釉薬屋さんが店を畳む時に祖父から大事にしとけよって譲り受けた釉薬がウランを含んだやつだった ってことがニュースになってましたが、長くなりそうなので次に続きます。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目