2020/11/02 20:16

本日のBGM Bossa Tres - Só Saudade

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これ↑は電子測り器、あるいはデジタルスケール、ホームセンターで買ったやつなので たぶん料理用のやつだと思うんですけど、釉薬を調合する時に使うやつです。

ケチって5キロまでしか測れないやつを買ったから 少量の釉薬を作る時にしか使えないんですけど、買ってからこいつの便利さを痛感しまして、やっぱり20キロくらいまで測れるやつにしたらよかったわ。大は小を兼ねる という言葉は電子測りにこそ当てはまるものだと思いました。


陶芸家には釉薬を大雑把に作るタイプと緻密に作り上げるタイプの2種が存在しまして、緻密タイプの人であれば 0.00何gとかの単位で微調整して望む色を出したりするので、このような↑小数点以下切り捨て、なおかつ2gごとにしか測ってくれないスケールというのは論外なんだと思いますが、

幸いなことに私は大雑把なタイプ、というかできた釉薬をうまく使おうというタイプ、言い換えるなら冷蔵庫にあるもので美味しいものを作れるタイプ、つまり料理人にはなれないけれど男性需要は高いみたいなタイプなので この測りで全然OKなのです。あらやだ それってプロ失格って意味?


それで今日は 今ある釉薬を改良するために ちょっとだけ釉薬を作ろうと思ったんですけど、ちょっとの量なのでミルにかけるほどではないし、となると乳鉢ですりすりすって作んなきゃいけないんですけど、先ほども申し上げたように わたくし大雑把タイプ、

乳鉢をすって釉薬を作るだなんてめんどくせえことはせずに生きていくことを陶芸人生の目標としていますので それは最後の手段、そもそも綺麗な乳鉢がないから まず洗わなきゃいけないというのが既にめんどくさい。

ということで原料を調合して釉薬を作るという方法はあきらめて、すでに出来上がった釉薬同士を混ぜて目的を果たそうと、このように電子測りで釉薬を混ぜ合わせているのでした。

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釉薬を開発する用の、ちょっとだけ釉薬を作るマシーンとかは実際にあるので、そういうのがあればやるかもしれないですけど、まあでもちょっとだけ作った時と、ミルで大量に作った時では色の出方が違うという事実がございまして、その事実を盾に私は乳鉢を遠ざけてもいるんですけど、

陶芸家あるあるの一つに、乳鉢で釉薬を作って、すごくいい色ができたから同じ調合比率で大量に作ってみたら なぜか全然ダメな色になる!っていうのがございまして、それの原因はなんなんですの? と有田焼の人に聞いた所、

釉薬というのはいろんな鉱物がすり潰された状態で水に溶けて混ざっているんだけど、調合方法が違うとすり潰された鉱物の形も変わって、それで色の変化に影響が出るということだそうで、

要するに少量で作った釉薬と大量に作った釉薬では全く同じ色にはならないから、もう最初から大量に作るしかないねー ということでした。釉薬は複雑ですね。

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なので釉薬同士を混ぜ合わせるのは、調合比率にある程度のアタリをつけるため という感じですね。もうこれで解決したらすげえ楽なんですけども。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目