2020/11/07 19:13

本日のBGM Blind Lemon Jefferson - Match Box Blues


今日サンドペーパーを買いに行ったついでにマッチの大箱を買いまして、ていうのも庚申窯では薪窯の煙突を暖めるための窯(煙突が暖まらないと空気の吸上げが行われなくて、窯の温度が上がりにくくなるのです)で いつもゴミを焼いていまして、

燃やせるものはなんでも自分たちで燃やすということなんですけど、その窯は半分外にあって、ライターなどは すぐに錆びて使いにくくなるというので、よくゴミを燃やす祖母が なんかのついでにマッチ買ってこい というのを思い出して買ったんですけど、今売られてるマッチ箱もデザインが昔のままだったりするので なんかいいですよね。「こゝを押して」 みたいなところとかも。

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こういうレトロなデザインってのは何がいいんでしょうね。今よくみるデザインとは隔世の感があるから、そのコントラストで新鮮に見えるのかしら。それとも単に優れているのかしら。あるいは歴史を感じるからでしょうか。祖母も かわいい箱ね と言っておりました。小分けにして使うそうです。


マッチというと 西部劇なんかでカウボーイがマッチを岩とかブーツとかで擦って タバコに火をつけるシーンがありますけど、私は子供の頃からそれを何度も再現しようとしてたものの ついに一度も成功せず、

画面の中ではあんなに簡単にやっているのに それができない私はなんて不器用なんだ、ガーレンなんか上腕二頭筋でマッチを擦っていたのに、と悲観していましたが、

それはどうもマッチ自体が違ったようで、かつてのマッチは黄燐が使われていて摩擦だけで火がついていたらしいですけど、それだと しょっちゅう自然発火して危ねえってことで、

今作られているマッチではマッチ自体にリンを使わず、マッチを擦るところ、あの側面の方に赤燐を塗って、あそこで擦ることで初めて火がつくみたいで、

一方アメリカでは黄燐が使用禁止になったので、代わりに硫化リンを使用したマッチが作られるようになって、こっちは摩擦だけで火がつくけど その分強く擦らないといけなくなったそうで、そのことを知ってようやく私はマッチに対するコンプレックスを解消することができたのでした。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目