2020/11/20 23:18

本日のBGM TOTO BISSAINTHE - M'pa Gen Zanmi Ank'o


明日 陶芸体験が入ってまして、陶芸体験は基本的に父が担当なんですけど、体験の時は工房をある程度片付けなきゃいけないので、明日やろうと思って ろくろに据え付けていた削り台↓を外さなきゃならなくて、

画像1

片付けて また設置して、また片付けるのかと思ったら ちょいともったいないような気がしたので、今日のうちに全部削っておこうってんで削ってたんですけど、

話は変わりまして この間 福島県の相馬焼に見学に行ってまして、相馬焼にはフリーランスの職人さんというのがいて、職人さんはなんでも作れるから、一つの窯元だけではなくて いろんな窯元で注文があれば そこの工房に赴いて 言われた量を作るという、昔ながらの職人制度が生き残っておりまして、

その仕事の様子を見させてもらって思ったのは、職人さんの技術というのは手捌きの熟練度もさることながら、無駄のない作業工程というのも すごく重要だなと思いまして、職人が代々伝え続けてきたノウハウってやつですね、それで大変スムーズに品物を作っておりました。スピードは修行するしかないけど、スムーズさは真似できるってやつですね。

画像2

こちらは相馬焼の2重作りの湯呑みです。我々としては作るのすげえ大変そうだと思ってたんですけど、相馬焼の人に言わせると2重つくりの方が数を多く作れるんだそうです。

ていうのも2重つくりの場合 側面を削り上げて調整しちゃうから ろくろ引きの段階で厳密に作らなくていいので早く作れるんだとか。とは言ってもこうやって見ただけでかなり作業工程が多いのが分かりますよね。

画像3

その湯呑みの高台の削りの時に かなり柔らかい状態で削り作業をしてまして、これが意外と目から鱗だったというか、庚申窯では割と硬くなってから高台は削ってたのですが、柔らかい状態だと粘土がサクサク切れるから余計な力が要らんでええやないかと思いまして、

画像4

でも多分どっちが好きかは個人差があって、私の父が固めが好きで、それが基準だと私も思っていたので 今までは粘土が固くなってから削ってたんですけど、今日おちょこたちを やわやわな状態で高台削ってたら いつもよりも早く削れましてん。どうやら私は柔らかめの方が向いているようです。

画像5

まああと作風にもよりますよね。抹茶碗とか ぐい呑みとかは、砂まじりの荒っぽい土で、それがまだ柔らかめなうちに 切れ味の悪いカンナで削るといい感じになるんですけど、きめ細かい土でもって シャープなつくりの器なんかは 土が固くなってからの方がいいと思います。

画像6

それでも粘土柔らかいと乗っけてるだけでも動かないし、リカバーも簡単にできるから、慣れたらこっちの方が良さそうですね。あといい感じに高台も歪むので、陶器っぺえ味が出ます。今後は高台を削るタイミングも作るものによって変えようと思いました。

画像7



高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目