2020/11/21 21:44

本日のBGM Nat King Cole - Autumn Leaves


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あがのの方もだいぶ紅葉して参りまして、庚申窯の庭のもみじも 赤くなってたり、赤くなる途中のオレンジだったり、まだ緑だったりと さまざまな色があって、わたし的には赤一色よりも このくらい いろいろある方が好きなんですけど、紅葉などの花を好む感情というのはどこから来るのでしょうか。

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つまりこれは学習なのか、それとも本能なのかって話なんですけど、本質的に人間というのは 花を見ると安らぎ、美しいと感じるものなのか、それとも 世間がそういう価値観を推奨するもんだから 自分でも知らない間にそれに合わせて 花が好きだと思っているという教育の成果なのか、

まあそんなことを考える私は やはりさほど花が好きではない部類なのかもしれませんけど、でもそれだって今の生活が自然との距離が近いってことで 自然がお腹いっぱいで、追加で花を出されても「食べれないことないけど別にいいっちゃいいです」みたいな消極的な状態ではないのかしら。

これがもし巨額の借金を背負わされて地下の炭鉱で 昼も夜もなく働かされてたら 花とか自然が欲しくなるのでは? いやでもそんな極端なやつだと まずは普通の生活に戻ることが一番に来そうだから またちょっとずれるんですけども、

つまりつまり人間というのは結局のところコントラストでしか物事をうまく評価できないんじゃないのかい ってことでして、都会に暮らしてる人の方が自然を欲しがるし、田舎に住む人は星空なんてまず見ないしって感じで、普段の生活に欠けているもの、抑圧されているものを補うための動機として 好きとか嫌いとかの感情ができているんじゃないかしら。まあそれが全てではないでしょうけど。


話は変わって江戸時代の もみじの名所の一つに浅草の浅草寺(せんそうじ)があったそうで、当時の川柳に「浅草寺 なに枯れっ葉と 通り過ぎ」なんてのがあって、これは浅草を過ぎると遊郭でおなじみの吉原がございまして、

男たちは 紅葉狩りに行ってくる と言って浅草へ出かけてって、紅葉なんか二の次で吉原へ繰り出していた江戸っ子の様子をうたったものですけど、それもいいですよね。人間もまた自然です って感じで。



高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目