2020/11/27 20:11

本日のBGM Francis Lai - A Man and A Woman


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これは素焼き窯でして、8角形なのでオクタゴン、通称オクちゃん、だなんて誰も呼んではいないけれど、道具に愛着が湧いて、道具をまるで人間のように呼んだり扱ったりすることがありますが、そういう時って性別とかも自然と設定されてたりするのかしら。

ヨーロッパの言葉なんかでは男性名詞とか女性名詞とかがあって、どんな言葉もいちいち どちらかに振り分けられているんですけど、でもこれは昔からそうだったわけではないらしくて、5000年くらい前には男性名詞と女性名詞と中性名詞があって、雌雄で分けられるものは男性名詞と女性名詞があてがわれて、無生物には中性名詞があてがわれていたそうですが、

やがて時代が下ってくるうちに中性名詞たちも 男性名詞か女性名詞かの どちらかに振り分けられていったそうで、それぞれの振り分けられ方は言語によって違うから、それぞれの民族のノリで決めていったのかしら。

例えば「太陽」なんかは国ごとに男性名詞か女性名詞か分かれてて、光と温もりを与えてくれるものでもあるし、一方で暑さや日照りという過酷なものをもたらすこともあるしってことで、民族によって 女性的なものであるとか男性的なものであるとか分かれていまして、その土地の気候とか風俗によって自然の捉え方も違うってことなのでしょうか。


だとすると このオクちゃんは作品を生み出すものですから女性名詞になるのかしら。と思って「窯」の言葉を調べてみたら男性名詞ばっかり。それはあれか、焼くからか?焼かれる方からしたらハードだってことなのか?そもそも厳しいものを男性的と捉えるみたいな法則性があるわけでもないのか??

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話は変わって この素焼き窯にのってるのは粘土の塊でして、これだけ厚みがある場合、自然乾燥だけだと 中心部までしっかり乾きにくいので、火の入っている窯の上に乗せて乾燥させているのです。焼いている間は 窯の上も触ったら火傷するくらいには熱くなるので、粘土の乾燥にちょうどいいんですね。

もし乾きが甘い状態で焼いてしまうと、粘土の中に残された水分が膨張して、水分の逃げ場がない場合 焼き物は破裂してしまいます。そうなると その焼き物はもちろん、周囲の焼き物もダメにしてくれた上、窯の中に飛び散った破片を掃除しなくてはならなくなるという 大変にめんどくさいことになりますので、しっかり乾かしておいて損はないのです。

あと乾きやすいかどうかは 粘土の質によって どのくらいの厚みまで乾いてくれるかが変わりますので、使ってる粘土の限界を知るためにも一度は破裂させておくのもいいかもしれませんね。電熱線の隙間に入った破片を取る めんどくささは 今後は しっかり乾かそうという戒めになると思います。

庚申窯の粘土の場合 このくらいの塊↓がもう厳しいみたいで、その時焼いたものはことごとく破裂しましたけど、また新たな粘土を仕入れる予定なので、その粘土の質的に こういった厚くて重たいものもできるようになると思います。

ちなみにこれ↓はシガートレー、葉巻用の灰皿なんですけど、やはり灰皿は鈍器になりうるということですな。

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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目