2020/12/03 23:40

本日のBGM 荒井由実 - ひこうき雲


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何日か前に撮った写真の明るさやら色味やらの調整をしておりまして、これがもうめちゃくちゃにめんどくさくて、よう やっとられませんわ って感じで、それと言うのも いつも自然光で撮るもんだから雲の具合によって色温度が変わって、そのため1枚1枚写真を修正しなければならないということで、やっぱりきちんとストロボとか焚いて撮った方が 後の修正作業が楽なんだろうなあと痛感しているのですが、

いつも写真を撮るスタジオは家の廊下でして、この廊下に対する庚申窯の人たちの評価は芳しくなく、あんなひどい廊下で写真を撮るなんて、なんて言うんだけれど、そのひどいってのは 雨漏りの水染み跡がめちゃくちゃあるとか、日焼けして色落ちしてるとか、動物の引っ掻き傷だらけとかそういったことで、

バブリーな世代に価値観を育んだ彼らにしてみれば 新品でないとか 傷がついてるとか 中古だとかの要素は基本的にマイナスであり、それらをコンプリートしているこの廊下への評価というのが著しく低いのですが、

しかし陶器的な価値観というのは、古いからいい、傷があるからいい、誰それが使ったから価値がある、ってなもんで、時間経過による自然な傷跡というのを肯定する文化の一つが焼き物であるわけですが、感性というのは時代に大きく左右されるものだということで、巷でよく言われる、「人は自分の生まれた時代には勝てない」 と言うやつですね。

「なんでこれがわからないんだろう?」 と 今まで上の世代に対して抱いてきた感情は、もうすでに下の世代から 「なんてわからない奴なんだろう」 と思われている次第で、でも この良さがわからないなんて、なんて可哀想な奴らだ ってって、お互いに軽蔑し合うというのは社会動物的に 大変に健康な状態であるので、私はひたすら廊下を美しく修正するのです。

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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目