2020/12/07 23:22

本日のBGM The Pilgrim Travelers - Call Him By His Name

福智町には一応公表の数字で20件ほどの窯元がありますが、かつてはその倍近い数の窯元がございまして、それらは廃業したというわけなんですけど、20年ほど前に廃業した窯元から父が粘土をもらってきまして、

なんでも倉庫の整理をするのに処分しようとしたところ、粘土は業者が引き取ってくれなかったそうで、それでもし使えるならってことで庚申窯にお鉢が回ってきたっちゅう次第でござんす。

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まあこういうことはたまにございまして、廃業して20年も経ってからってのは すぐに手放すには未練があったのか、まあその当人はもういなくて親族の方がようやっと整理しているわけですから 或いはそうだったのかもしれませんが、

焼き物の、特に釉薬の原料ってのは見ただけじゃ それがなんなのかわかんないってところがございまして、なので入れている容器や袋に その原料の名前がメモられていたり、印字されていたりするんですけど、

時間の経過でマジックの痕跡は掠れてビニールはボロボロになってたりして判読不能な状態になると、それがなんなのか検証するために多分これだろうと見当をつけて釉薬を作れば、その通りにできるかもしれないし、あるいは原料を間違って調合したことで思いがけずいいものができるかもしれません。

しかしそれはリスクを伴う行為であり、暇な時にしかできません。ってことで とりあえず取っておいて、そのうち時間があったら、なんつって時間があるなんてこたあ ねえもんでござあして、そういったことが回数を重ねた結果、現在原料の置き場にも困るようなことになっている次第です。

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あと調合済みの釉薬とかも、私の場合 自分ではわかるようにメモっているけれど、他の人からすれば どこに置いてあるのが どれなのか 全くわからないし、しかもそれぞれの釉薬を組み合わせて焼いたり、2度焼き3度焼きで色を出したりするから、それらを伝えていくっていうのはやっぱり大変で、いったん途絶えたものをもう一度復活させるのはもっと大変なのねと思いました。


粘土たちは荒土用に一旦水に戻してから使おうと思っております。

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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目