2021/04/30 00:30

本日のBGM The Great Jazz Trio - Favors


今日は庚申窯の倉庫 a.k.a シベリア流刑地を整理しまして、シベリア流刑地は 色が良くなかったり傷があったり、あるいは悪くないんだけどずっと売れてないとか、そもそも売れるやつではないとかの焼き物たちのストックになってまして、年に2回ある陶器祭りの屋外テントで売られているのは ここの人たちになります。

なので陶器祭り後にはだいぶ倉庫がスッキリするので整理するのにちょうどいいんですけど、去年コロナウイルスで陶器祭りが開催されなかったため 一年分いつもより余計に倉庫はごちゃごちゃしておって、本当は月曜日に整理するつもりだったんですけど、あまりのだるさに延期して本日 木曜日の決行となりました。

そういえば陶器祭りの方はこういった状況下でも多くの方にお越しいただいて、今のところ感染者がどうこうとは聞きませんので、まだ油断はできないのですが大変よかったです。上野焼はよその陶器祭りに比べて密になりにくいので開催しやすかったみたいです。上野の閑疎さも役に立つのですな。

あと「陶器祭り開いてくれて良かった」との声も結構いただいて、陶器祭りでしか会わない人とかもいるから交流の場になってて、やっぱり人と会ったり話したりすることって思ってる以上に大事なのね、と思いました。

あとあと片付けを手伝っていただいた皆様ありがとうございました!今回の片付けはいつも手伝ってくれる男衆がコロナの事情で来れず、その上 庚申窯2代目が酔い潰れてくれやがりましてテント畳むのに全然男手が足りなかったのです。テントは立てるのも片付けるのも大変だから、なんかもう屋根がそのままあるみたいなのを取り付けようかしら、と毎回思うけど結局テントを立てるのが一番現実的なのよねえ。


焼き物の整理は同じタイプのものをまとめたり、もうこれは処分した方がいい というものを選んだりするんですけど、それと同時にいい感じのものの発掘も同時進行してまして、プロ野球のトライアウトみたいな感じで、一度 戦力外通告を受けた人たちが現役復帰できるチャンスでもあります。

しかし高鶴裕太看守による審査はトライアウト並みに厳しいのでほとんど流刑地から出られないんですけど、プロ野球と違うのは価値観の変遷でして、どういう焼き物がいいかっていうのは個人の感覚の変化もそうですし、時代の変遷もありますから 数年前に全然良くなかったものが今見るととても良くなったりすることがあります。ファッションとかが昔の流行に戻ったりするやつですね。

今回1軍復帰した人たち↓

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そして焼き物の場合 経年劣化が進行する時間が人間のライフタイムに比べて とても長いってことがありますよね。割れない限りは 表面に乗っかった埃を拭いたらオッケーというお手入れのお手軽さは大変に優秀ですわ。

お手入れのお手軽さは他の美術品と比べてもすごく楽なのですが、日用品、例えば木製のものや石油由来の製品と比べても非常にお手軽で長持ちします。ただいま陶器至上主義のプロパガンダが進行しています。

まあ使ううちに割れるので、結局日用品の中でも寿命は短い方に入っちゃうんですけど、2020年のトライアウトでは新庄剛志が参加したことで話題になりましたが、参加者数は57名でプロ野球の球団に復帰できたのは多分4人で、3人は育成枠ということだから相当厳しいですよね。

一球団の支配下登録人数が70人までで、毎年10名くらいが戦力外通告とドラフトで入れ替わってるそうですから、そもそもプロ野球選手として長く居続けるだけでも大変で、平均引退年齢が29.5歳、数字で見るとプロ野球の厳しさが分かりますな。

身体的なパフォーマンスはどうしても衰えていくし、次の世代が新しい体を持ってくるから代替も効くということで、運動能力や美しさみたいなものによるパフォーマンスは素晴らしいし、人を惹きつけるけれど 替えの効くものでもあるのね と思って、生涯現役で居続けられそうな陶芸家っていいじゃん という動機もあったなあと思い出しました。

陶芸家になった理由をよく聞かれるんですけど、聞かれるたびにその時思いついた理由をしゃべっているので 元がどうだったかわからなくなってるんですな。まあ理由がいっぱいあるのはいいんじゃないでしょうか。一つの理由で物事を決めることの方が少ないし。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目