2021/05/22 21:23

本日のBGM Son Bonds - A Hard Pill To Swallow

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今日みたいに風の穏やかな日は庚申窯の裏の池も水鏡となって美しいシンメトリーを描きまして、天気が良いので夕方に 池へと降りていく階段の最上段にのへへんと座っておりましたら、意外なことに数多くのツバメが池を訪れていて、どうも水に卵を産みつけるトンボみたいな虫や、なんかわからんけど水の上をフォンフォン飛んでいるちっちゃいハエみたいなのをハントしに来ているみたいです。

数多くのツバメ と言っても たぶん同じツバメが何度も来てると思うんですけど、彼らの飛行性能がえげつなくて その曲芸飛行を眺めているだけで楽しいのですが、またしても意外なことにツバメは飛ぶのが速い訳ではないみたいで、旋回性能が優れているために速いと思われているんですって。

ていうのも彼ら寒くなるとフィリピンとかマレーシアまで飛んでいく訳だから なるべく省エネで飛ぶ必要があって、そのために体重に対する翼の面積が大きい、イコール浮かぶ力(揚力)が強くなって、そのおかげで低カロリーで遠くまで飛べるんだけど、

揚力が強いということはイコール速度は出ないということで、普通のツバメだと水平飛行で45kmくらいしか出ないそうです。それでもウサイン ボルト並みですね。ウサインボルトのスピードで全方向に急旋回とかしてたら そりゃ速く感じますわいな。

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ちなみに水平飛行最速の鳥はハリオアマツバメという ツバメと名前がついてるけど生物学上はちょっと遠い翼長が50cmくらいある鳥で、時速170kmくらい出るそうです。速いですね〜。そんな鳥の胴体はまたまた意外なことにずんぐりしてるということで、思い込みと物理的な事実とのギャップは面白いですね。

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池端にじっと座っていると私の頭上を経由して湖面に滑空して行ったり、池に這い出してる水面ギリギリの木の間を事もなげに飛び回っていて自由闊達、臨機応変、縦横無尽、円転滑脱、変幻自在に飛び回る空中飛行ショーを繰り広げてくれまして、この時期だけ見られるいい光景でした。

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↑こういう木と水の間もシュンシュン飛んでた


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庚申窯にも毎年の場所にツバメは営巣しておりまして、見た感じ5匹くらいヒナが生まれて、かれらの栄養摂取のために親ツバメは1日に13時間も飛び回って、1時間あたり40回くらい虫を取ってきては雛に食わせてる訳だけど これは大変な重労働ですよね。それで屋根付き、狩場近、最寄り池まで飛行5秒、夜間警備付きの庚申窯の物件は毎年 争奪戦が起きているのね。

ツバメは飛んでる虫を空中で捕まえたり、障害物を瞬時に躱すことができる訳だけど、高速で動く生き物というのはその運動性能ゆえに映像処理のスピードも早いらしくて、それはつまり脳の処理スピードが速いということ、するとどうなるのかというと時間の流れがゆっくりになってくるんですね。

人間が感じる1秒と速く動く生き物にとっての1秒は長さが違うということで、相対性理論とはちょっと違うけど こんなところでも相対的に時間というのは違うものなんですなあと池を見ながら思いました。


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目