2021/05/15 21:51

本日のBGM Edwin Starr - Running Back And Forth

ここ最近は夜明け前に起きても寒くないから大変にいい季節となりまして、私にとっていい季節というのは いつ寝たり起きたりしても大丈夫っていう季節、だから気温がそこそこあればいいんであって、ここから先の数ヶ月が私にとってのベストシーズンになります。1年の半分ですな。

ランニングもやらなくなるかと思っていたらまだ続けておりまして、朝 山道を走っているんですけど 前半ずっと上り坂だからなかなかハードデラックスで、おかげで太ももが むっちむちになって お尻の位置も上がり、大変に壮健な下半身になっておりまして、

下半身が改善されたもんだから せっかくなので上半身もむっちむちに鍛え上げて マーカスルールのような体になって、そうなったらフィギュアスケートの練習着みたいな黒い全身タイツを着込んでボディラインをむっちむちに強調して、あがのの名物おじさんみたいになったろかしら、なんて思ってたら福岡はもう梅雨入りですって。えらい早いわね。

画像3


さて山道を走っておりますとテイカカズラの花の匂いがいろんな場所から香ってきまして、匂いの元に目をやるとフェンスだったり 木の幹だったり 石垣だったり、いろんな場所にテイカカズラが進出しておって あやつら 目立ちにくいけれど よく見てみたら大変な繁栄ぶりです。これ↓は庚申窯の石垣のテイカカズラ。

画像1

テイカカズラについては去年 藤原定家について書いたときに心安くなりまして、 匂いも印象的なので少し香っただけでも、「むむっ! この近くにテイカカズラがあるな!」と探索してしまう条件反射が身についてしまっているのですが、

匂いといえばプルースト効果、匂いがきっかけで昔のことを思い出すってやつ、マルセル・プルーストの小説で、紅茶とマドレーヌの香りから昔を思い出すというシーンからプルースト効果と名付けられた〜 ってやつがありますけども、

特定の匂いで過去を思い出すってのは誰しも経験があるのではないでしょうか。よく聞くやつでは昔好きだった人がつけてた香水を嗅いだらその時期のことを思い出すとか。ていうかもろにそういう歌がありますね。

あるいは口裂け女なんかも 執刀医のポマードの匂いとトラウマがリンクしてて、もはやポマードという言葉を聞くだけでフラッシュバックが起きるわけですから匂いというのはその瞬間の印象と深く結びつきやすいみたいで、実際に検証された実験結果からも 言葉によって思い出した記憶より、匂いによるものの方が より鮮明で詳細まで思い返すことができるそうです。


やはりこの思い出というのは大事にしたいもので、思い出の多い人生の方がなんか充実してそうだから 思い出をより思い出せる仕組みを作っておきたいところ、今ではスマートフォンで写真をたくさん取れるから視覚記録による思い出降臨機能は十分にありますが、

例えば割と強烈めな香水を毎日つけておいて、3年ごとに香水を変えていったら今度はその香水を嗅ぐだけで その香水をつけてた時期を3年ごとに思い出すことができる というプルースト効果を利用した嗅覚思い出降臨システムを作ることができるんじゃないかしら。


しかも強烈だから自分だけじゃなくて相手の印象にも強く残すことができますよね。相手の大脳辺縁系に香水タイムカプセルを設置して、何かの拍子で同じ香水を嗅いだ当時の知り合いが 自分のことを今まさに思い出してるかもしれないわ と悦に入る高尚な遊びができるのではないでしょうか。ちなみにシンプルな匂いの方が記憶と結びつきやすいみたいです。


匂いによるフラッシュバックが鮮明なのは嗅覚が脳の古いところと繋がっているせいだ というのが一応の仮説ですが、視覚や味覚などの 嗅覚以外の感覚は全部 大脳新皮質に繋がっているのに、嗅覚だけが大脳辺縁系という本能や感情の部分に繋がっているというのは面白いですよね。

それってつまり生き物として最初に必要だったのは匂いを判断する機能だったってことなのかしら。人間でも異性の匂いに惹かれるということは今でも大いにありますよね。

例えばワキガの元になってるアポクリン腺から分泌される汗はさまざまな成分を含んでいて強烈なんですけど、動物の間ではそれによって異性を惹きつけたり、あるいは自分に近い遺伝子を持つ個体と生殖しないように機能しているそうです。

生命の本質が生殖だとしたら、嗅覚というのは根源的な判断機能なのかもしれないですね。いい匂いと思われるよう心がけましょ。

画像2


高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目